新・内海新聞113号

最近温泉旅館事情

 

今回は、地元ネタで失礼します。
湯河原に引っ越して約20年になります。
実家のある神戸六甲山系に風景が似ていることから移り住みました。
それは、北に山があって、南が海。近くに温泉があって、新幹線が走っていて、大都会が近い・・そんな条件で関東の地図を広げると、熱海から小田原のエリアしかなく、その中間地点の湯河原にした記憶があります。
温泉は有馬温泉と箱根が類似、海は瀬戸内海と相模湾が類似、新幹線が走っていて、近くの大都会は大阪と横浜が類似。これが情緒を安定させ精神衛生上良好ということになります。隣町に静岡県熱海市があり、千歳川が県境となっています。
熱海は徳川家ご用達の温泉で、家康がこよなく愛したことから古くから栄えていました。これは以前NHKのブラタモリで詳細を解説していました。
戦後は新婚旅行のメッカと言われました。高度成長の時代には、大型観光バスで乗り付け、旅館の大宴会場で芸者さんを呼んでのドンチャン騒ぎ。街にはバーやスナック、風俗店が並ぶ・・・そんな古典的な温泉街の発展を遂げました。しかし、今は見る影もない。
いまどき、会社から団体旅行なんて流行らない。まず女子社員が嫌がります。
旅館の構造も、大広間があって、そこで皆で一緒に食事。さらに席の順番も会社の序列そのまま。これではさらに嫌がられます。
最近は、会社の保養所もどんどん無くなってきています。格安だからといって会社の保養所に家族旅行に行ったら、上司の家族も来ていて、終日気を遣いっぱなしなどという事態は避けたい。
今のトレンドは、家族旅行やカップルでの静かに旅行です。
中でも温泉は一番の楽しみです。
しかし、大温泉旅館の男湯は大きく立派ですが、女湯は小さく設備も貧弱。これでは女性客が寄り付かないのも当然です。
一方、湯河原温泉は熱海とは対照的です。熱海の様な団体客を相手にした設備があまりありません。
谷川に沿って、小さな旅館が立ち並ぶ温泉街です。土地がなく大きな旅館を立てる余裕がありません。5部屋とか10部屋とかの小さな旅館が点在しています。
かつては島崎藤村や芥川龍之介、川端康成といった文豪が小説を執筆するために籠ったという静かでのどかな旅館街です。旅館のごひいき客も二代目、三代目と代々通い、旅館の当主も二代目、三代目と引き継がれる。代大々顔なじみということです。
しかし、最近はおじいちゃんに連れられて一緒に旅館にやってくる孫たちも退屈な田舎は避け始めています。友人と遊んでいた方が楽しいからです。
結果、どんどん客数は減っています。
特に東京近郊の温泉旅館が地盤沈下しています。
今から20年程前に、練馬から湯河原に引っ越した頃、地元の方々からいろいろ相談を受けました。
とにかく旅館街の活性化策は無いものだろうか?という内容です。
いろいろ聞いていると、面白い事が判ってきました。
まず、営業時間です。
ほとんどの旅館は、14時がチェックインです。
18時から夕食タイム。
食事が終われば20時に布団を敷きに仲居さんがやってきます。
朝7時から朝食タイムで、10時チェックアウト。
こんな流れ作業です。
しかし、この時間割だと二日間連続でお休みのサラリーマンの人以外利用は不可能です。
休みが一日しかない、あるいは分散しているようなサービス業の方々は利用できません。
総務省の労働力調査(平成16年)によると全就業者のうちの67%(4056万人)がサービス業の就業者と発表されています。この全てが、休日が分散しているとは言えないかも知れませんが、かなりの方々が不便を感じている可能性があります。
当時、地元の旅館組合の会合で以下の様なアドバイスをしたことがあります。
当時は、豪華な夕食のために板前を雇い、高価な素材をふんだんに使った、非日常のディナーが用意されていました。

しかし、客数が減少し、板前の人件費を払えなくなってくると、夕食は仕出し業者に外注する事になっていきます。
これでは、せっかく高いお金を払っている値打もありません。結果、どんどん客離れが始まります。そのような現状を聞かされました。
その時、私はもう少し視点を変えたらどうかと思いました。
豪華な食事を本当に求めているのだろうか?旅館に何を期待してやってくるのだろうか?
温泉は必須です。でも旅館での食事よりも、一緒に旅行する人たちとの時間が一番重要なのではないだろうか?・・・そう思いました。
まず、サービス営業時間を再検討する事にしました。
チェックインを従来の14時から22時にします。これでサービス業の方々でも仕事が終わってから出掛けても間に合います。
仕事が終わって、職場の友人たちと東海道新幹線に飛び乗っても大丈夫です。途中で美味しい駅弁とビールを購入。友人たちとの道中のおしゃべりを楽しんでもらいます。
駅に到着してタクシーで旅館に移動。
ゆっくり温泉につかって、リラックス。深夜まで友人たちとの談笑タイムです。
この日の夕食はありません。飲み物やおつまみは、備え付けの自動販売機でいつでも購入可能です。
翌朝は、プチ豪華な朝食が待っています。食事はこの朝食がメインです。
炊きたてのホカホカのご飯、お味噌汁は食べ放題。地元で採れたアジやキンメダイの干物などなどビュッフェのセルフサービスです。
チェックアウトは16時まで可能です。
もう一度、温泉に入ってお昼寝も出来ますし、荷物を預けて周辺の観光地の散策でも楽しめます。
これまでの旅館だと、中に入ってしまうと館内ですべて完結してしまうのですが、ゆったりした時間の中での散策は、周辺の経済活性化にも貢献します。
それぞれの小さな旅館が、朝食を準備するのが大変なのであれば、朝食専門のレストランを、旅館の共同出資でつくることもできます。
これであれば、一日しかない休日でもとても有効な時間配分が可能です。
さて、この様な平日に休みのあるサービス業とはどのようなものでしょうか?
たとえば理髪・美容店。これは月曜日がお休みのところが多いです。レストランや商店などは水曜日や木曜日の休みが多いです。
それぞれに料飲業組合や商店会などの団体が存在します。それぞれの業界の休みを調べ、その休みの前日の夜からチェックイン出来るプランをつくり、チラシやWebで案内していきます。
「飲食業界のお客様向けプラン」とか「百貨店業界のお客様向けプラン」とか仕掛けていきます。
各地域別、業界別でマーケティングを展開し、一週間の、特に日曜の夜から金曜日の夕方までの予約を取ります。土日は通常のお客様がいらっしゃるので、ここは変更なしです。
以上が、20年前に考えて提案したプランでした。しかし、これらはなかなか実行されませんでした。
ところが、最近変化が出てきました。
一泊一食プランというのが出てきました。一泊と朝食だけのコースです。
また、インバウンドの旅行客が増え、素泊まり希望の外国人旅行客が増えた事も上げられるかも知れません。
「The Ryokan Tokyo」というのが出来ました。

 

 

 

 

 

 

一泊朝食付き 3名利用で8000円/人程度
朝食もいろいろ選べるようです。
A.国産一等米の金目米使用 石焼混ぜご飯セット
B.国産一等米の金目米使用 おにぎり朝食セット
C.国産豆乳の汲み上げ湯葉朝食セット
また卒業旅行プランなどは、4名で4000円/人程度
旧態依然とした考え方では、旅館業取り残される時代になってきました。

新・内海新聞112号

【靴磨き屋さん顛末記②】

〔前回よりの続き〕
女性専用の訪問回収型靴磨き靴修理サービス「フェアリーテール」はスタートしました。
スマホを使ったオーダーと決済方式を採用。
回収エリアは郵便番号100-0005。つまり丸の内周辺です。
システムはできましたが、じっと来客を待つ仕事。どうもじれったい。
もっともっと知名度を上げなければ。
知り合いのツテを頼って、無料トライアルをしてもらったり、お友達紹介制度で口コミを期待したり。
少しずつ利用者は増えていましたが、まだまだ損益分岐を超えません。
靴の回収に行ってくれるコンシェルジュ達は、皆女優さんや声優さん達ですがまだまだ無名の人達。アルバイトに明け暮れる毎日。でも、みんな底抜けに明るく助けられました。時間の合間に舞台のセリフの稽古をしたり、発声練習をしたり、大女優のモノマネをして笑わせてくれたり…
暇でも楽しく時間は過ぎて行きました。
もう、こうなったらタレント事務所でもするか!なんて話になったり、夜間は近くで女優BARという店舗をオープンして二毛作化に進むか?とか、次の展開アイデアは止まりません。
女優さん達、全員ついて行きます!と心強い。
結局、事務所を改造して通常の靴修理の店舗をオープンすることになります。
ビルの9階までエレベーターで上がってもらうことになります。表の道路に大きめの看板を立て掛けましたが圧倒的に不利です。
だだ、中央区京橋には靴修理店が1つもなく、真空地帯だったことは幸いしました。
ビルの最上階の9階にある靴修理店なんてあまり聞いた事がないので、お客様は恐る恐るやってきます。
9階のドアを開けると、美人の女優さんばかり。
「ここ、靴の修理屋さんですよね?」
いつもこの質問から始まります。
訪問回収型サービスと店舗来店型サービスのハイプリッド方式となりました。
店舗を始めてから2ヶ月ほど経過したころ、ある不思議なことに気付きました。
店舗に来られるお客様に共通点があったのです。
なんとそのほとんどのお客様は生命保険会社の外務員だったのです。
つまり生保レディーです。
確かに生命保険会社の本社は丸の内周辺に集中しています。
2時過ぎになると必ず各社2~3人でやってきます。靴の修理が終わるまで事務所の中で、コンシェルジュ達とワイワイ楽しそうに時間を潰しています。靴の修理がなくてもやって来て遊んでいます。
クッキーと紅茶を用意して、まるでラウンジです。
日本生命や明治安田生命、第一生命と会社は違っても、皆仲良く情報交換の場になっていました。
生保レディーは、12時から13時までのお昼休みの時間が勝負で担当企業を訪問して保険勧誘です。それが終わった14時以降は行く場所がなくなります。わが社は会社の近くのビルの中にあり、まるで隠れ家です。時間潰しにうってつけだったのかもしれません。
ある日、三井生命の女性が「ちょっと相談があるのですが…」と私のところにやってきました。
「ウチの支店長に会って欲しいのですが、ご都合いかがですか?」
どういうご用件ですか?
「支店長がお願いしたい事があると…」
私は、保険の勧誘だなと思いました。
翌日、三井生命の支店長がやってきました。
そしてその話というのは保険の勧誘ではありませんでした。
「ウチの支店の生保レディーは約100名います。彼女達のほとんどが外反母趾で足や靴のことで悩んでいます。生保レディー達の靴のケアをお願いできないだろうか。会社としては、お金は出せないが、支店に自由に出入りしてもOK。支店長公認のもと朝礼で皆に紹介します。それでご協力いただけないだろうか?」
意外なお誘いでした。
もちろん私は喜んで承諾しました。
後日、コンシェルジュの明日香さんと一緒に三井生命の支店をたずねました。朝礼が行われていました。その場で支店長に呼ばれ我々の紹介があり、それぞれ個人の責任で自由に使うようにと話していただいたのです。
すでに何足か袋に入れて待っている方もいて、皆、靴の回収を楽しみにしていたのです。
コンシェルジュたちは毎日三井生命に訪問して、生保レディーの座席を巡回して靴を回収します。
翌日に修理して磨かれた靴を持って伺い、料金をいただきます。
生保レディーのほとんどがスマホなど持っていません。
最初苦労して開発したスマホの決済システムは、結局必要ありませんでした。三井生命のビルの別のフロアーには別の支店が入っていて、それぞれに支店長がいらっしゃいます。我々が靴の回収をしているのは、三階にある一つの支店で、二階にも四階にもニーズはあるはず。それぞれの支店長に訪問回収のお願いに行きました。それは私ではなく自主的にコンシェルジュの彼女たちが行いました。支店長はニコニコしながら快諾です。二階から四階まで市場は拡がりました。ここだけで、300名の生保レディーがいます。しかし、こうなると靴の回収に回るのは結構重労働になって来ました。

そこで開発されたのが写真のような「靴修理回収箱」です。


 

 

 

 

 

 

 

 

各フロアーに一つ設置しました。中に大きめの回収袋が沢山入れてあります。利用者はこの袋の中に修理する靴を入れて、袋には自分の名刺をホッチキスで留めてもらいました。コンシェルジュたちは毎日昼過ぎに伺い、箱から修理する靴の入った袋を回収、翌日の朝10時にお持ちするというパターンです。
回収箱の中に靴が入っているか行く前に分かるように、箱の内部にネットワークカメラを設置。会社のWi-Fiをお借りし、事務所からスマホで靴の有無を確認できるようにすれば無駄が省けます。
こうなると営業のパターンが固まりました。
靴修理の店舗にやってくる生保レディーに対して回収箱を置かせてもらえるよう支店長に頼んで欲しいと勧誘する営業です。
次に決まったのは丸の内にある明治安田生命でした。同時に二つの支店が決まりました。
第一生命はどうしても導入して欲しかったのですが、なかなか首を縦に振ってくれません。9月に支店のレイアウト変更があるのでそれ以降に検討するが、導入の確約はできないと…
そのうちに、日本橋の日本生命の支店に導入が決まりました。
その事を、第一生命の支店長に伝えると、速攻で翌週から導入OKの返事がでました。
まさにこの業界は横並び。かつて経験した通りです。
結局、日本生命、第一生命、明治安田生命、朝日生命、富国生命、三井生命の複数の支店への回収箱の導入が決まりました。
まだまだ、伸びる余地があります。
しかも、支店長からのアドバイスで各支店と交渉しました。
それはこういうことです。
「支店長決済で進めるのが良い。しかも決済は生保レディー個人とあなた達の間での自己責任にする事。何故なら、本社を通すと、話はすぐに大きくなるが、それらを管理する関連会社を通す必要があり、売上のいくらかは手数料として納めることになるので、支店長決済にして、数多くの支店営業所を攻略した方がポテンシャルは大きくなるはず。」
一言で言うと、『回収箱を置く』というビジネスモデルです。
この辺りで私は少し飽き始めていました。仕事がルーチンになったからです。
アルバイトたちで業務が回ってしまいます。
私の仕事がなくなりました。
ある日、ある勉強会に参加しました。そこでKさんという宝石鑑定士の方と出会いました。彼はユニークな方で、テレビによく出演されていました。
出品された宝石の値段をタレント達が当てるというバラエティ番組で、本当の価格の査定をするという専門家として出演されていました。
「靴の訪問回収ですか!!それはすごい!」
私の話を聞いてすごく感動していました。
そしてこう言われたのです。「靴が回収できるなら宝石も回収できますよね?」…と。
一緒に良いビジネスができそうですよ、とも。
毎日コンシェルジュ達が生命保険の事務所を訪問しますが、いつも裏口から入ります。すると裏口の通路には日替わりで色々な業者が店を出しています。
靴を売っていたり、スカーフやアクセサリーだったり、健康グッズや健康食品。中でも一番多いのが宝石販売でした。
結構高額なものを売っています。
お客様は生保レディーです。
年配の生保レディーの一番の趣味は宝石なのです。昔からのしっかりしたお客様を持っていて、ある程度高所得で安定している。
そこで出来上がったメニューが「宝石のクリーニングサービス」です。
指輪が中心なのですが、2500円でクリーニングします。
靴回収で訪問した時に、指輪のクリーニングのオーダーも一緒にもらってきます。
それを宝石鑑定士のKさんのところでクリーニングしてもらいます。
普段、指輪を付けっぱなしなので、静電気を帯びてホコリが蓄積しています。
これをプロの手にかかると、新品同様に蘇るのです。
翌日、綺麗になった指輪をお持ちするととても感動されます。しかし、ここからが勝負です。
宝石鑑定士Kさんが、その指輪にピッタリのイヤリングかネックレスを選び、そのポラロイド写真を撮ります。
そして綺麗になった指輪をお届けした時に、
「うちはフジテレビの〇〇番組に出演している宝石鑑定士のKさんと契約していまして、そのKさんが選んだ、その指輪にぴったりのネックレスがこのポラロイドです…」とオススメするのです。
これで、だいたい20万円~30万円の価格帯です。
ほとんどが興味を持って実物を見たいと言われます。
これで、その後100万円くらいのお買い物につながるということでした。
以上の流れがKさんの考えた営業シナリオです。
宝石の魔力というのか、どんどんコレクター意欲を掻き立てられエスカレートして行くのだそうです。
靴の方がフェアリーテール。

 

 

 

 

 

 
宝石の方がフェアリージュエリー、という二本柱の構成に出来上がりました。
第一生命の営業部長からは、各支店の会議室を提供するので一緒に何かイベントができないだろうか?と提案を持ちかけられました。
それぞれの生保レディーが受け持っている契約者とそのお友達向けに、宝石鑑定士のKさんの講演をしてもらいたい。番組の裏話的な。
そして、持って来られた指輪をその場でクリーニングし、御社のスタイルの営業をしてもらって結構。第一生命は一緒に来られたお友達に向けて保険の有効性の講演をさせていただくという感じです…
マーケティングとは、
売り手が買い手にいがに近づくか…ということ。
一人の生保レディーの不便を解決し、さらにその先の楽しみを提供し夢を広げてゆくこと。
ということなのかもしれません。
ほんの小さな思いつきでしたが、そこを極めて行くと、気づかなかった大きなポテンシャルが潜んでいるということを発見したことが大きな収穫でした。
(本プロジェクトは、2014年4月30日をもって全て終了致しました。)

新・内海新聞111号

【靴磨き屋さん顛末記①】

2012年、東京駅前で靴磨きと靴修理のテストマーケティングを始めました。皆、何やってんの?って感想だと思う。思い立ったら吉日。事業ってそんなもの。今回の靴磨き事業は大変大きな収穫を得たと思います。その貴重な体験をやはり皆に伝えておかないといけないと思い、ここに記録しておきます。

そもそもこの発想の原点は今から10年も遡る。テーマは「困っていることを助けることがビジネスになる…」です。それが何故靴磨き?!ですが、詳しく書いていきます。
ジンテックでの私の席は窓側の一番後ろ側。社員の姿が見渡せるところにあります。後ろ姿が良く見える。
ある日、あることに気づいたのです。女子社員たちが出社すると、履いてきた靴を脱いで足元のお手製の棚の上に揃えて置き、サンダルに履き替える。しかも皆可愛いグッズで靴をしまっている。細長いキリンの首のクッションをブーツの中に入れて、型が崩れないようにしたり、素敵なケースにパンプスを入れていたり、可愛いフルーツのクリップでハイヒールの両足を留めて倒れないようにしたり、私は毎日それらを見て「可愛いなぁ…」とニンマリするのが日課でした。彼女たちの素敵な靴たちはそこで勤務時間中ずっと仮眠をとっています。なるほど…。一方、毎日クロネコさんや佐川さんが定期的に荷物を取りにやって来る。ありがたい。いつも来るお兄さんは同じで、すでに顔なじみ。「今日もご苦労様です!」なんて書かれたトレーにキャンディーなんか入れて、ご自由にどうぞと気配りしたり。
待てよ。机の下で仮眠をしている彼女たちの素敵な靴たちを、勤務時間中を連れて行って綺麗に修理して磨いて、また勤務中に送り届けてあげる…そんなことができたらお互いにハッピーになれないか??それが、発想の原点。靴修理といえば、駅にあるミスターミニットが有名。男性客はあまりいない。女性客が中心なのが現状。なのに…なぜ店舗名がミスター?まずそこからおかしい。これは想像するに、かつてモーレツに働いていた団塊の世代の男たちに向けて、成長してきた痕跡。でも、もう今は時代が違う。
東京で一番忙しいと言われる渋谷駅の中にあるミスターミニット渋谷店に見学に行ってみました。いつも5人くらい並んで丸椅子に座って順番を待っている。全員女性。ふーん。私には、人前でさらし者になっているように見えました。急遽、並んでいるおねえさん達にインタビューしていきました。ちょっと勇気が必要でしたが。
いつもココ、来るんですか?「二ヶ月に一回くらい」恥ずかしくないですか?「ちょっと恥ずかしいです」なんか困ったことないですか?「皆、考えてることが一緒なのか、空いてると思って来たら、その日に限って並んでる。モ~って感じ。」他には?「そのスリッパ…誰が履いたかわからないのを履くのはいや。水虫のオヤジが履いてたらと思ったら嫌だし…だから履かないでブラブラさせてます。」他には?「待ってる時間が勿体無い。持って来るのも面倒」皆、不満はあるんだー。なのになぜここを使うの?「だって、他にはないもの…」
というものでした。
これはいただき!です。靴修理と靴磨きのデリバリーをやれば面白い。その名前は『靴急便サービス』もう、一気に企画が核融合です。朝、事務所に取りに行き、夕方に返却。企画の大筋は決まりました。事業創造って、資金やアイデアはとても大事。しかし、もっと大切なものがあります。それは勇気と、体力です。世の中に絶対なんてものはない。やってみなければ、何も始まらない。
現状の不便の解決は一番の基本です。でも、これからやって来る未来も少しは取り入れよう。これから何がやって来る?私は、それを「スマホ」としました。これから全てスマホに始まりスマホで完結の時代がくる。日本が一番出遅れた分野です。日本が誰よりも得意なはずの世界で、出遅れた分野です。スマホでオーダーして決済してもらいます。お客様は女性。女性の靴修理と靴磨き専門です。

 

メニューは靴修理と靴磨きなら種類は限定されます。回収に行く都合上、エリアを限定しました。東京駅周辺としました。特に丸の内。郵便番号は〒100-0005です。スマホのホームページから郵便番号を入力すると回収エリアかどうか分かります。次に勤務先等の会員登録をしてもらいます。そしてオーダー画面に変わります。
靴のタイプ、修理箇所、サービスメニューを選んでタップ。回収希望日時をタップ。オーダーボタンをタップ。これで予約完了。料金はカード決済。予約の段階では仮決済です。修理後お届けして本決済となります。次回からは靴コード番号と修理箇所とオーダーボタンのタップだけで全て完了です。一度でも修理した靴は登録されコード番号がつけられます。これでシステムは出来上がりました。今度は、誰が回収に行くか?お客様は女性なので、男性は嫌がれるだろう。回収も女性の方が安心だろうと女性コンシェルジュがオフィスに回収に行くことにしました。可愛い女性に回収に行ってもらいたいのですが、アルバイトの募集で苦戦です。私は女優さんやタレントさんに手伝って欲しかったので、彼女達の求人を始めました。そのためにある方法を思いつきました。通常のインターネット求人広告を使ったのですが、1つだけ他にはない日本で初めての仕掛けを付けました。他にはない求人の条件です。「オーディション優先」と一行記載したのです。女優さんの卵達は頻繁に舞台やテレビや映画などのオーディションを受けます。このオーディションはいつあるか分からないので、そのオーディションを受験するには仕事を休まないといけない。だから定職に就けない。しかも、前日とか当日にお休みの連絡をアルバイト先に言わなければならず、もう普通の仕事には就けません。これが彼女達の最大の悩みなのです。オーディション優先。仕事よりオーディションを優先してもOKです。そんな時は、アルバイトの中で空いている他の人と調整してくれればOKです。という項目を付けたのです。やがて応募者が殺到します。「本当にオーディション優先してもいいんですか?信じられません。そんな職場はここだけです。絶対に辞めません。」その結果、目論見通り美人ばかりの職場になります。口コミは広がり、求人広告はいらなくなりました。営業は、チラシをまいたり、新聞の取材をしてもらったり、DMを送ったり色々やりました。少しずつオーダーが入ってくるようになりました。誰かが使えば職場内の口コミで広がります。どこまで回収に行けるか、それがすぐ分かるように、回収に行った景色を携帯で写メしてもらいホームページにアップして行きました。コンシェルジュの女性たちの日記のように。そこには私はノータッチで女性の視点に任せました。その写メを見れば、「あっ、うちの会社の近所も回収に来るんだ!」と分かってくれます。しかし、なかなかオーダーが大きく伸びません。緩やかに上がっているのですか、急成長とは言えません。原因は色々ありました。
①靴の修理ごときで個人情報を登録するのは嫌
②慣れないスマホでのオーダーの仕方が分からない。
③スマホを持っていない。
でした。
当時のスマホの普及率は20%程度。まだまだガラケー中心の時代でした。それではと、パソコンでもオーダーできるようにしたら、会社のパソコンは私用には使えない。丸の内企業ですので、その監視が厳しくオーダーにはなかなか繋がりませんでした。また、丸の内の高層ビルはセキュリティーが厳しくビルに入れないという事態も発生しました。一人、靴職人を雇っていたのですが、暇そうにしています。困った。仕方なく、普通通りお店でお客を待つ修理店も併設しました。店舗は中央区京橋にある小さなビルの9階の事務所にオープンしました。普通なら1階の人通りのある場所に店舗を出店するのが良いのでしょうが、家賃の安い9階に事務所があったので仕方ありません。結局そこで靴の修理店舗を始めることになります。小さなエレベーターで9階まで上がらなければなりません。しかし、このことが、新たな市場のすき間を見つけるきっかけとなるのでした。
【続く】



 

 

 

 

 

 

 

《参考資料》

【平均給与】33歳OLの平均年収は、294~299万円
年齢別 男性/女性〔万円〕
19歳以下 161/126
20~24歳 270/231
25~29歳 379/294
30~34歳 461/299
35~39歳 555/294
40~44歳 629/280
45~49歳 656/278
50~54歳 662/266
55~59歳 634/264
60歳以上 456/234
平均 539/271
(平成18年 国税庁「年齢階層別の平均給与」より)
この20年給与は上がっていない。
【OLの支出内訳(33歳)
年収299万円/手取月給20万円
貯蓄;約330万円
40,000 家賃
10,000 水道光熱費
35,000 食費・日用品
20,000 交際費
12,000 ケータイ代
15,000 洋服・化粧品代
15,000 交通費
5,000 保険
10,000 趣味
5,000 医療費
30,000 貯金
20,000 なんやかんやその他
全部で19万7000円(+α)
クリーニングの必要なものは買わない。