新・内海新聞109号

【メロンパン】

前回はジンテックが与信や信用照会の事業に入ってゆくきっかけのお話でしたが、そのヒントを頂いたのがT信販会社のY部長でした。
Y部長が「与信に使える!」と言われたことから、ジンテックのTACSは新たな道に踏み出すことになります。
さて、タイトルのメロンパンですが、そもそもこういう話です。
初期与信や途上与信のお仕事が増えるにつれ、金融業というビジネスに大変興味を持つようになってきました。
なぜなら在庫がいらないこと、利息を稼ぐ事が出来るなど魅力的です。
私は、今までにない、金融庁が見落としているビジネスモデルは無いものか?
毎日のように試行錯誤をしていました。私は当時、ある企業からの依頼で飲食事業のビジネスモデルを作っていました。
昔、10年間飲食ビジネスをしていた関係から、そのビジネスの面白さを良く判っていました。
小規模の飲食店の一番の悩みは、日々の資金繰りです。二番目はアルバイトや職人の手配です。商材というのは頑張って研究すれば何とかなります。
皆さん自分のお店を持つことは一番の夢ですが、そう簡単に店のオーナーになることなどできません。先立つ資金がありません。
小さなことからコツコツと資金を貯め、経験を積み、やがて小さくとも一軒の店のオーナーになるというのが理想です。
これら、志のあるオーナー予備軍を育てるビジネスモデルができないだろうか。そんな中、出てきた答えが「ケータリングサービス」でした。いわゆるキッチンカーによる営業です。


最小限の厨房設備の付いた軽自動車を改造したキッチンカーです。商品は単品の方が効率良く、マニュアル化がしやすいのと、仕入れも最小限に抑えられます。そして自分一人で開業できます。その様なキッチンカービジネスを広く展開する支援事業のモデルです。志願者を募集し、研修を行い、キッチンカーを販売するという流れです。
しかし、このモデルには問題があります。キッチンカーのオーナーになって営業を開始しても、その営業する場所が問題です。顧客の多いところは人通りも多く、路上駐車することになるので、違法駐車になります。他人の所有地を勝手に使用することもできません。
そこで思いついたモデルは以下の様なものです。
最近あちこちに新築のオフィスビルが建設されています。建築法によって、共有スペースを作る必要があります。共有スペースは、環境には良いのですが家賃を生みません。このビルの下にある共有スペースを活用してキッチンカーの業者に場所を貸出し有効利用することは可能です。
有楽町の東京国際フォーラムの共有スペースなどはお昼時になると、多くのキッチンカーが集合し営業を開始します。ここであれば違法駐車になることもありませんし、ヤクザ屋さんに追いかけられることもありません。但し、この様な場所は、競争が激しくなかなか利用することが出来ないのです。
そこで、移動販売業者を会員にした組織を作り、ビルの共有スペースでランチタイムに営業する権利の交渉をします。
もちろんその使用料を移動販売業者から徴収し、賃借料としてビル側に支払います。
この場合、多いのがその日の売上げの全額をいったんビル側に支払います。そして一定期間を置いて、家賃分や光熱費を差引いて移動業者に返却されます。
この方法は一般的で、たとえばスーパーの横のスペースで営業している焼鳥屋さん。百貨店なので開催される駅弁フェアや物産展などの催事は皆この方式です。長い場合は数カ月後というのもあります。
この間に資金繰りが悪くなって倒産ということも多いようです。
普通でも売上の少ない移動販売業者は、入金が数カ月後となると経営が出来ません。
そこで、資金管理会社を作りその資金繰りの支援をすることにしたらどうだろうか?専門家であるT信販のYさんと連日議論しました。
たとえばメロンパンの移動販売と仮定します。
メロンパン屋さんはその日の売上を毎日営業終了後、コンビニのATMからビル側に入金します。
その時のジャーナル(ATMに入金の時に出てくる様な控え)を、資金管理会社に提出してもらいます。一週間後に、メロンパン屋さんの銀行口座に、入金額の80%を振り込みます。
ビル側からは、一定期間後、手数料を引かれて振り込まれてきますが、振込先を資金管理会社にします。そこから、最初に振り込んだ80%を引き、さらに資金管理会社の手数料を差し引いた残額を、メロンパン屋さんの口座に振り込みます。
これによって、メロンパン屋さんは資金繰りが安定し、日々の営業に支障が出ることがありません。
さて問題はここからです。
これが貸金業に当たるかどうかの判断です。
私はこれが貸金業ではないと考えました。
もしも、メロンパン屋さんの債権を買い取り、ビル会社から入金を受けるとこれはファクタリング事業となり、金融事業と判断され金利等も制限を受けることになりますし、金融庁の管轄下に置かれます。
今回、考え出されたのは債権を買い取らず、資金管理会社がメロンパン屋さんに先払いをしているにすぎません。会社の小口の仮払い精算と同じです。
会社の仮払いには金利は付きません。
消化仕入れ方式です。
このプランはS銀行を通じて、同社の顧問弁護士に確認をしたところ、金融事業ではないという判断になりました。
そして「これは大きな抜け道です。誰も気づいていませんね。」と盛り上がりました。
事業化しましょうという話になったのです。
キッチンカー業者は毎日利用客からのアンケートから顧客満足順位を決め、別の業者と入れ替えの指標とします。
また、共同購入会をつくり、業者全員の仕入れを一括購入しコストを下げる。
など、新しいビジネスモデルが出来上がりました。
いまでしたら、各キッチンカーのレジを「Airレジ」などのクラウドを利用すればもっと、細かい経営指導も行えると思います。
結局、この企画は諸般の事情でペンディングとなりましたが、これらのアイデアはTACS事業に反映されていきました。