新・内海新聞 58号

生物学上、海老は脱皮して成長していく。脱皮というと体が成長して大きくなって、その体に合わなくなった殻を脱ぐというイメージですが、海老はいささか違うようです。

海老の脱皮は殻を突き破るそうです。現状突破です。なんとも壮絶です。また仏陀の言葉に「スッタニバータの蛇」というのがあります。蛇も脱皮します。しかし、成長のために執着無く現状を脱ぎ捨てることが大事と説いています。

「放てば手に満てり」とは仏教の言葉です。
旅をしていた人たちが、道を横切る大河に遮られます。その河を渡ろうと人々は飛び込んで泳ぎますが、力尽きて溺れていきます。

その時、ある人が筏を作って渡ろうと提案し筏が作られます。皆その筏で無事に大河を渡り終えます。「この筏のおかげだ、ありがたいありがたい」と、人々はその筏を担いで旅を続けます。しかし、もうその筏は必要ないのです。仏陀は言います。本当にありがたいと思うのであればその筏は捨てよ。こだわりを持ってはいけない。執着を捨てよ・・・と。握り締める手を広げたときに、すべてのものに触れることができると。

Fifty over,Over fifty

あるマーケティングルールがある。
それは、「今年20歳の人は来年必ず21歳になる。」というルールです。もちろん生きていればという前提ですが。人は必ず一歳ずつ年齢を重ねている。その同年代の方々の人数を現したのが「人口分布図」です。この人口分布ははっきり未来を予測しています。
「Fifty over,Over fifty」です。

これは、日本の成人人口の50%以上が50歳以上の人が
占めているという意味です。これは既に5年以上前に達成し、この比率がどんどん上がっています。

日本の全人口の中で見ても50歳以上の人の分布は48%に達し、こちらも50%超えは時間の問題です。50歳以上の人たちが、圧倒的多数となり、もう無視できない存在になってきました。政治的にも、経済的にもです。今後、高速で高齢化が進む中華人民共和国や、アメリカ合衆国、欧州などが高齢化の同じ道を進むことになります。

日本の高齢化は世界最先端をいっており、この分野では日本が世界に先駆けて大実験をしているともいえます。かつて、シルバーブームというのがありましたが、これは見事に失敗しました。高齢者の捉え方に失敗したといえます。
現在は、シルバーとは言わずシニアといわれます。このシニア層をそう捉えていけば良いのでしょうか?数年前に、山梨県清里にあるSという美味しいお蕎麦屋さんに行ったときこんな話になりました。「ここはリタイアされた方々の憧れの地で、定年退職後、東京の自宅を売って、このあたりに土地を買い小さな家を建て、庭に畑を作って晴耕雨読のような生活をしたいと来られます。最初は、このアイデアはうまくいくのですが、知り合いもいない、毎日単調な生活に疲れてきます。奥さんは新しい友達をどんどん作って楽しく過ごされるのですが、ご主人はそうはいかない。土地にも人にも馴染めず、結局自殺する人が多いのです。皮肉な話です。」そのお蕎麦屋さんは、お蕎麦屋の二階を開放して、孤独なご主人達を集めて、蕎麦打ちを教えたり、ろくろを回して陶器作りを指導したり、あるいは飲み会を開いたりされています。男性は不器用な人が多いのでこの様なことが必要なのだそうだ。

「シニア」とはどういう人のことを言うのでしょうか?50歳以上の人のことでしょうか?あるいは60歳以上の定年退職した人のことを言うのでしょうか?以前のシルバーブームでは、この様に年齢で分けたために失敗したといわれています。「シニアとは、義務的生活から解放された方々をいう」という見方もできます。朝起きて会社に行く。毎日食事を家族に作る。町内会の行事を手伝いに行く・・・などなど、毎日毎日義務的に行われる労働や行動の中では開放がありません。

ある日、子供が大学を卒業して就職した、結婚して独立した。ご主人が定年した。などは、奥様の義務的生活からの解放に繋がります。そして自分のアイデアで毎日外出行動がはじまります。義務的行動が無ければ、非常にアグレッシブであり、好奇心も旺盛になり、新しい情報がどんどん入ってきます。この様に女性が義務的生活から開放されると、一気に活動的になり情報収集能力が高まります。

一方、男性は働いているときは確かに毎日外出して出勤していましたが、これはきまった範囲の中での行動であり、義務的行動といえます。定年退職しても、毎日スーツを着て、会社の近くの公園で過ごしたり、人に会ったりします。一見、自由で開放されているように見えますが、これも義務的生活の範囲です。男性はなかなか、呪縛があって義務からの解放へは時間がかかります。
いずれにしても、この様な「義務」から早く解放されたいという願望があり、ここに次のビジネスのヒントが潜んでいます。

例えば、40代までは、病気になった時に飲む薬も「良薬口に苦し」というように我慢して飲みますが、50代以降の義務から解放された人たちは「美味しくなければ駄目!」という発想に変わります。これは、40代までは、まだまだ働かなければならず、健康のためには何かを犠牲にしても構わないという考えであり、義務から解放されたシニアは、健康は大事だけれど、何かを犠牲にする必要は無い。楽しんでじっくり過ごしたい。」という考え方に変わります。

 

離乳食と治療食

最近、スーパーやドラッグストアのベビーコーナーの離乳食売り場が充実しています。

そのメニューはバリエーションに富んでいますし、その数も豊富です。しかし、よく考えてみると少子化が叫ばれ乳児の数がどんどん減っているのにも関わらず、離乳食は増えている。どうもおかしい。ある人がこう言いました。

「あれは、乳児用に作られてはいますが、実は購買層は老人なんです。歯が無くなってやわらかいものしか食べられない、量もそんなに必要ないという老人にぴったりの食品といえます。」

なるほどそういわれてみれば、老人人口はどんどん増えていて成長マーケットと言えるかも知れません。離乳食と同様、治療食というものがあります。
年老いて持病を持つと、だいたい食事制限が始まります。

カロリー制限、たんぱく制限、脂肪制限、塩分制限などなど。家族の方も、一人だけに制限食を用意するのは大変です。これこそ義務的生活、義務的労働です。
この義務的労働のショートカットというニーズがあります。

一人だけの治療食は大変。だったらこの分だけ宅配してもらえないか?というニーズです。

これは、既にサービス業として実現しています。今後はこの分野は、もっともっと拡充していくものと予想できます。

毎日の食事を、このような制限の中で用意するのは不可能に近いからです。

現行サービスは、管理栄養士による指導のもとメニューが開発されますが、しかし、この栄養士の方も、板前修業を10年したとか、フランスに料理の修業に留学したとかいうような料理の腕はありません。

5訂といわれる素材の栄養価のプロですが料理のプロではありません。
一方、この道数十年という料理の鉄人も沢山おられます。確かに素晴らしい芸術品のような料理を作ってはくれますが、栄養価や成分に関することはプロではありません。

例えば、蛋白質6gで料理を作るといっても無理です。

もしも、この両者がタッグを組んで、更に医師の監修があれば、全く違った素晴らしいメニューが完成するのでは無いでしょうか?

現在のような肩身の狭い治療食ではなく、豪華なディナーとしての健康食への変貌は、また新しい市場を作り出すかも知れません。

病院においても、赤字のところが多い訳ですから、この食事の分野で利益を稼ぎ出す仕組みもあっていいのではとも思います。高齢化社会に向けて益々この分野の充実が求められています。

生物学上、海老は脱皮して成長していく。脱皮というと体が成長して大きくなって、その体に合わなくなった殻を脱ぐというイメージですが、海老はいささか違うようです。

海老の脱皮は殻を突き破るそうです。現状突破です。なんとも壮絶です。また仏陀の言葉に「スッタニバータの蛇」というのがあります。蛇も脱皮します。しかし、成長のために執着無く現状を脱ぎ捨てることが大事と説いています。

「放てば手に満てり」とは仏教の言葉です。
旅をしていた人たちが、道を横切る大河に遮られます。その河を渡ろうと人々は飛び込んで泳ぎますが、力尽きて溺れていきます。

その時、ある人が筏を作って渡ろうと提案し筏が作られます。皆その筏で無事に大河を渡り終えます。「この筏のおかげだ、ありがたいありがたい」と、人々はその筏を担いで旅を続けます。

しかし、もうその筏は必要ないのです。仏陀は言います。本当にありがたいと思うのであればその筏は捨てよ。こだわりを持ってはいけない。執着を捨てよ・・・と。握り締める手を広げたときに、すべてのものに触れることができると。

新規事業

かつての前職であった人材派遣会社は、盛んに新規事業を繰り返していました。

毎月のように新会社が誕生していました。その創造力と営業力はすさまじいものがありました。本業は人材派遣業ですが、そのクライアントや登録スタッフが不便に思うことを解決するという大義名分のもと、自由な発想で事業が開発されていきました。

私も、事業開発にかかわり、様々な勉強をすることが出来ました。そんな新規事業の原動力となったのが、創業者でオーナーのN氏です。N氏は、「世の中の不便を解決する。」ということだけを唱え全力投球でした。

また周囲のスタッフもついていきました。部下たちも、前例の無いことに全力投球できたのは理由があります。それは、計画したことは必ず実行されるのです。途中で止めたり変更したりということはありません。

もし計画が途中で変更されると、全力投球してきた部下たちは混乱します。そういう混乱が続く癖が付くと、最初から全力を出さず実力を発揮できません。ですので、一度決めたことは必ず実行されるとなると、全員が安心して全力投球していけるのです。そんなパワフルな会社でしたが、N氏に新規事業開発のコツを聞いたことがあります。「そんなもんあれへんで!」と最初はとぼけていましたが、ある日こんな事を話していただきました。

「新規事業にコツなんかない。ただ、見ておかないといけない方向がある。それは、

  1. 日本に昔からあるもの
  2. アメリカにも同様のものがあること

この二点を注意深く観察すること。」

と教えてもらいました。意外と単純明快でした。たしかに多民族国家であるアメリカは、文化の違いからシステム化という考え方が浸透し、言葉が通じなくても文化が違っても仕事が正確に迅速にできるようにするシステムがあります。

一方、日本は単一民族で、アメリカのようなことは無いのですが、情報の伝達力ははやく、絶えず新しいものを要求する、また競争の激しい国でもあります。

競争の厳しい日本にも存在し、システム化のアメリカにも存在することは、日本のアイデアを誰にでも出来るアメリカのシステム思想を加えることができるということでもあり、きっと全世界に向けて市場は広がる可能性が大きいともいえます。