新・内海新聞 52号

現在、甥はエジプトのカイロにある日本大使館に勤めている。エジプトの貧しい地域の産業振興と雇用創出のための基金を運用する係です。先日、久しぶりに日本に帰国してきたのでいろいろ話しを聞くことにしました。

昨年の1月に革命が起こったとき、彼はエジプト国内に点在する日本人バックパッカーを探し出し、帰国を促す仕事をしたそうですが、なかなか上手くいかず大変苦労したそうです。やむなく大使館関係者も帰国命令がでて帰国してみると、今度は東日本大震災が起こり、海外援助をしている場合かという話になり予算が削減という状況に追い込まれます。

ところで、エジプトといえばピラミッドですが、あのピラミッドを建造したエジプト人と現在いるエジプト人は全く違うのではないか?という説をきいた聞いたので、その点を甥に聞いてみると、「それは現地でも言われています。現在のエジプト人の大半はアラブから流れてきた人種で、全く違う人たちだということです。おそらく、古代にエジプトにあったキリスト教の信仰する部族がいて、それは非常に勤勉で有能な方々であったという伝説があり、おそらくそこではないか・・・といわれています。」との事でした。でもその優秀な民族は一体どこに行ってしまったのでしょうか?突然、民族が消えうせることというのは有り得るのか?夜更けまでそんな話で盛り上がりました。

友近忠至のシステム思考(10)

前回の倉庫事件のあと、在庫管理の適正化に成功したのですが、サンリオ人気は衰えを見せず、発注量は増える一方です。また、商品アイテム数もどんどん増えて受発注業務に支障が出始めました。

全国の営業マンは、担当する百貨店や文房具店など、サンリオ商品を扱う店舗を訪問して注文を取りに伺います。ノートや鉛筆、ファンシーグッズ、衣類などその種類は非常に多くなっています。キャラクターも違えば、色やサイズも違う。欠品になりそうな商品を聞き出し、受注伝票を書き会社に戻ってきます。この伝票に基づき、オペレーターが入力をします。

その入力に基づいて発送処理が行われます。しかし、人気商品はお店でも欠品になる可能性が高く、どのお店も同じような商品を発注してきます。その結果、オペレーターはお店ごとに同じような商品の入力を何度も何度も繰返し入力し続けることになります。これでは、入力ミスも起こります。またオペレーターの人数も増やし、入力センターの規模も大きくしなければやっていけません。

さらに、このまま行くと来年中には、今の作業量が2倍以上になることは目に見えていました。このまま放置していたら来年には大変なことになる。とにかく、何か考え出さなければ・・・・。

まず、商品の売れ筋を見極める方法として「レイティング方式」を導入しました。これは、売れ筋動向が一目でわかるように、2桁の数字で表すものです。例えば、イチゴのキャラクターの付いたコップがあったとします。イチゴが一個描かれたコップ「A」と、2個描かれたコップ「B」と、3個描かれたコップ「C」ではどれが一番売れるのか?・・・と考えたとき、それは誰も解りません。

しかし、サンリオではこれが解るのです。まず、この3種類のアイテムのコップを全国にある直営店のギフトゲートというお店で一定期間販売します。

それぞれのお店で、AもBもCも売れています。そこで販売した全店でABCの売れた合計個数を調べます。この合計個数を全アイテム数で割ります。つまり、1個あたりの平均販売個数(アベレージ)「V」を計算します。この1アイテムごとに、平均販売個数を分母にして、1アイテムごとの実販売個数を割ります。

そのレイティングが、1.0であれば平均どおりということになります。1.0以下であれば平均以下の販売傾向、1.0以上であれば平均以上の販売傾向となるのです。この商品ごとのレイティングによって、もう衰退期に入っているのか、これから販売量が伸びてくるのかが予測できることになります。各お店からの発注に関しても、このレイティングに沿ってアドバイスしてゆくのです。

友近さんが提唱されるものに「ワンライティング」というのがあります。一回の入力ですべてが完了するようにすれば無駄な経費はなくなり、またミスも大幅に減るというものです。そこで考え出されたものが「ターンラウンドシステム」です。各お店からの発注単位を決めました。5ダース単位とか、1カートン単位とか、バラでの受付はしなくなりました。ここに先ほどのレイティングが活きてきます。お店で在庫になるような

発注がなされないように、営業が指導できるからです。商品ごとの発注カードがあらかじめ作られました。これはコンピューターのパンチカードです。このカードの作成に一度だけ入力されます。商品が発送されるとき、このカードが同梱されます。お店ではこのカードを保存します。次に発注するときは、このカードをサンリオに送り返すだけです。

一方、サンリオでは、返却されてきたカードをアルバイトが大型コンピュータに全自動で通すだけで、入力は完了します。すでにここには入力オペレーターは存在しません。そして次の発送のときには、再びこのカードが同梱されて送られます。この様に入力済みカードがサンリオとお店の間を、何度もクルクルと回っていく方式をターンラウンドシステムと呼ばれました。これは、サンリオだけではなく、お店の作業の合理化にも貢献する結果となりました。

新たな大きな設備の投入をせずに、問題点を見事に解決していく発想には大変驚かされます。しかし、更に取り扱うアイテムは増加し、このターンラウンドシステムでも対応が出来なくなってきたのです。これ以上は、今までに無い新しい発想やシステムが必要です。しかし、その発想はもう日本国内には無く、全世界にその答えを求めることになります。

全米鉄くず王の日本人-1

アメリカの鉄くず業界で伝説の男と呼ばれているFUWAMETAL USAの増井重紀社長の番組がTXであった。70歳を超えているのにものすごいエネルギッシュな方です。日本の総合商社でアメリカの鉄くずの輸入担当になり、その実績を買われて、アメリカの大手鉄くず会社の副社長としてヘッドハントされます。その会社を全米一の会社に育て上げ65歳で独立。これまでの自分がやってきたビジネスは、莫大な資金力をバックに大量の鉄くずを安く買い叩き、さらにそれら鉄くずをそのまま大型輸送船に積み込みバルクで輸出してしまう方法で他を圧倒していく方法でした。因みに鉄くず輸出で世界一がアメリカで第二位が日本です。

しかし、アメリカには数多くの中小の鉄くず会社があり、その取扱い量も少量なので、もっと小口で高く買い取れる仕組みがあれば、もっと市場は活性化するはず・・・と

小口の鉄くずを中心に買取り、海外に輸出する会社を設立します。鉄は、数千年前から人類が利用してきた優れた鉱物で、何度もリサイクルでき何度も生まれ変わることが出来る資源です。この鉄の精製には二通りあって、鉄鉱石を精製して製鉄する方法と、鉄くずを電気炉で溶かして純度を上げて精製する方法。鉄くずから精錬する方法は、リサイクル技術の結晶といえ、コスト的にも安価に製造が可能となります。鉄くずは、廃棄自動車やビルの解体などから大量に出てくるが、それぞれ形もバラバラで、細かく裁断しても歪な形で収まりが悪い。これを運搬してゆくのに、大きな手間とコストが掛かるのです。

増井社長は、あることに気付きます。アメリカには全世界から大量の荷物が船のコンテナで運ばれてくる。しかし、搬入が終わると空になったコンテナだけを返すことになるのは実にもったいないではないか。この空のコンテナに鉄くずを入れて運べば、コストが大幅に下がるはず。このアメリカに衣料品等を運んで来た空のコンテナに鉄くずを入れて運ぶという誰も思い付かなかった輸送手段を確立し、田舎の小さな鉄くず商でもアジアに直接貿易をすることができるようになります。さらに、増井社長に賛同した小さな鉄くず商が、全米の巨大な鉄くず輸出企業に立ち向かい、そのネットワークは日に日に広がっていったのです。

全米鉄くず王の日本人-2

この話を聞いていて、ある昔のことを思い出しました。いささか規模は小さいかも知れませんが、私が20歳代の時、地元のある会社と、パック入り地下水の製造販売を考えたことがあります。当時の関西の水道水は琵琶湖の水に大量の塩素を入れて浄水にしていたので、臭くて大変でした。そこに目をつけて、美味しいお水として地下水を紙パックに入れて販売することを考えつきます。

これらの販売ルートは、地元の高級スーパーマーケットと契約できたのですが、そのトラック搬送のコストがかかり、安い水では赤字になってしまいます。ある日、その高級スーパーの搬入口に立って一日観察していると、夕方になると荷台が空のトラックが入っていきます。しばらくすると荷台に荷物を満載にして出て行くトラックがありました。これは「空びん業者」といって返却された空びんを各スーパーから回収してリサイクル業者に運ぶ仕事をしている業者のトラックだったのです。

つまり、荷台が空のトラックでスーパーに行き、空びんを積んで帰ってくる・・・荷物を積むことが目的のトラックとしては、帰りの便しか仕事をしていません。もしも、行きの荷台が空のトラックに、紙パックの水のケースを積んでスーパーまで運んでくれれば、きっと格安で運べるに違いないと考えました。結果、空びん業者と契約し、スーパーに紙パックの水を運んでもらうだけの約束で搬送を依頼しました。

もう30年以上も前の話です。さて、FUWA METAL USAの増井重紀社長は、この空のコンテナに鉄くずを入れて運ぶ方法は思いついたのですが、そのコンテナに鉄くずを入れるのに大変苦労しました。ブルドーザーで鉄くずを運んで中に入れるのですが、形が歪なので上手く入りません。どうしたものか思案した結果、このコンテナを立てて上から鉄くずを投げ込めばいい。

しかし、どうしたらこの巨大なコンテナを立てることができるのか?いろいろ探した結果、ニュージーランドの会社でコンテナを立てる機械を製造販売しているところを発見。契約してもらった鉄くず会社には、このコンテナを立てる機械を購入してもらいます。その代わり高く鉄くずを購入する契約を結んでいきます。

増井社長は、全米を一社一社自ら訪問営業して交渉していきます。本当に地道な作業です。当初、そんな手間のかかる方法では赤字になって経営できないと笑っていた大手鉄くず会社も考え方を変えなければならなくなりました。どんどんコンテナ配送の鉄くず会社が増えていったのです。アメリカでは、増井社長のことを「レジェンド」と呼び、アメリカの鉄くず業界に革命を起こした男として賞賛されています。