新・内海新聞 51号

友人の土橋博美さんが、代官山にお店をオープンさせました。これまで外苑前にあったのですが、そこを閉鎖して隠れ家的な一軒家への移転です。ミレナーズ・ブティック・ジャパンといいます。アロマキャンドルのお店です。かつてANAのCA(客室乗務員)をしていた時、海外で見つけた商品で「日本に持っていけばきっと売れるのに!」というものが数多くありました。このアロマキャンドルもその一つです。蝋を使わず大豆油で作っています。お花やハーブ、果物などの香りで200種類以上あります。たまたま、お店を訪れたモデルの平子理沙さんが友人たちに紹介したことから、有名人御用達のお店のようになってしまいました。

CAの時、機内は寒く体が冷えてしまうので湯たんぽを抱いていたそうですが、この湯たんぽをもっと可愛くできないかと、熊のぬいぐるみの中にドイツ製のゴムの湯たんぽを仕込みました。このクマちゃん湯たんぽが、ヘアメイクアーチストのIKKOさんのお気に入りとなり、現在大ブレイク中。今回はロサンジェルスをイメージしたお店にアロマキャンドルやクマちゃん湯たんぽ、ハリウッド仕様ブランケットなどなどの展示場を備えた立派なお店になっています。これを買うとあれも買いたい、集めていきたいという収集意欲を掻き立てるマーケティングを展開しています。まさに「コレクターマーケティング」の成功例といえるかも知れません。

友近忠至のシステム思考(9)

平凡社は国民百科事典の発売によって空前の売上を達成しました。そこには友近忠至さんの常識破りの書籍の月賦販売というアイデアが活きています。多くの利益を出した平凡社はこの利益を、何か将来的に見込みのある会社に投資することになりました。そして銀行の紹介で出てきたのはJPCというアメリカからやって来たグリー
ティングカードの会社でした。

「どうもアメリカには、友情の証として絵葉書を送る習慣があるらしい。いずれ日本もそのようなことになるかもしれない。」

ということで平凡社はその小さな会社に出資することになります。出資に併せて友近忠至さんがJPCに出向となり、常務取締役となります。社長が辻信太郎さん、専務取締役が荻洲照之さんで同年代の三人がここに集まりました。社名もJPCからサンリオという社名になりました。最初はなかなか販売も難しかったようですが、スヌーピーのキャラクターのライセンス契約を結んでから販売も順調に伸びてきました。そんな時、倉庫で事件が起こりました。棚卸しをすると在庫の商品が足りないのです。しかも、売れ筋商品に限って足りないということも解りました。盗難にでもあったのかと大騒ぎになりました。倉庫を担当していた友近さんはその調査に当たることになりました。倉庫で働いているアルバイト職員にいろいろ聞き込みをしていると、その実態が判ってきました。

実は営業マンはお客様を訪問して注文をとって回るのですが、対月には大体この商品の注文がくるな、ということが予測できます。その時に在庫切れになっていると、お客様に迷惑もかかり、自分の営業成績にも影響してくる。そこで、その営業マンは倉庫のアルバイトに頼んで、その商品を棚から出して倉庫の片隅に隠しておくようにしていたのです。そうすることによって他の営業にとられて欠品になることを防げると考えたらしいのです。

しかし、結果的にこれでは他の営業やお客様に迷惑をかけることになってしまいます。どうしたものか・・・結局、在庫に欠品がでるからこういうことになる訳で、絶対に欠品が出ない在庫管理システムがあれば、商品を隠したりすることもなくなる。しかし、この在庫管理の方法を話し合っても、出てくる答えは大型コンピューターの導入の話ばかり。確かにコンピューター化は重要ではありますがこの導入コストは莫大です。お金をかけずにこの問題を解決する方法はないものか・・・・。そして、考え出されたものが「棚札(たなふだ)」でした。

その棚札とは以下のような仕組みです。白い紙に数字が沢山書かれています。それは「100」「99」「98」「97」「96」「95」「94」「93」・・・・という具合に上から下に降順に一つずつ数字が減っていくように書かれています。ただそれだけです。この紙を台紙に貼り、商品ごとに棚の前にぶら下げてあります。台紙にはカラーサインペンが紐で繋がっていてぶらぶらしています。

使い方はこうです。出荷用のダンボールの箱に、その商品を3カートン取り出して積み込んだら、サインペンで上から数字を3個線を引いて消します。例えば、「100」「99」「98」と上から3個の数字に線を引くわけです。そうすれば、まだ線を惹かれていない一番上の数字が現在の在庫数ということになります。「15」という数字のすぐ上には赤線が既に引いてあります。そこには但し書きがあり、「この赤線を超えたらすぐに発注の内線電話をお願いします。」発注の電話があれば、その棚は再び100個の在庫に戻され棚札の紙も新しいものに取り替えられます。

さらに、一個一個の数字を消しこむサインペンも毎週その色は変更されます。そうすると、その引かれた線の色の増減を見ているだけで、これが売れ筋商品なのか、もう人気がなくなりつつある商品なのかが直感的に解ってきます。こんな棚札が倉庫の商品の棚のすべてに貼り付けられ、風でパタパタ揺れています。これは、まさにコンピューターの発想です。

しかし、どこにもコンピューターは使われてはいません。システムとは、何も考えなくても誰でも同じようにできて同じ結果が出せる仕掛けをいうのだ・・・というのが友近忠至さんの口癖です。かつて、愛媛県松山市の明屋(はるや)書店に勤めていたとき、夕方になると店舗前に乱雑に駐輪される自転車の整理に道路に白線を引いいただけで、規則正しく駐輪されるようになったという体験がルーツかもしれません。システム化とは、人の行動心理に逆らわないことなのかも知れません。

 

スティーブ・ジョブズ氏にメールしたらトンデモないことになった件1

TORIZOさんのブログからの引用ですが、今は亡きジョブズ氏らしい逸話です。・・・・・

2年前の出来事だった。2009年10月にCore i7搭載の27インチ iMac(Late 2009)が発売された。iMac初のCore i シリーズ搭載ということもあり、僕は購入して半年程度のiMacを手放し、このマシンを手に入れた。使い心地は最高だった。しかし、iMacを起動すると、液晶に黄ばんだムラがディスプレイ全体に染み渡っていることに気付いた。最初はあまり気にしないようにしていたが、iMacを起動する度に、ディスプレイにムラがある部分とそうでない部分の違いがハッキリとわかった。

『自分のiMacだけ黄ばんでいるのだろうか?』少し不安な気持ちで、同じ現象に見舞われているユーザーがいないかどうか調べてみた。調べてみると、意外に初期ロットのiMac(Late 2009)に同じ現象が多いことがわかった。自分は購入から2週間が経過し、返品は不可能だったため、アップルジャパンに事情を説明し、ディスプレイの交換をしてもらうことになった。最初に対応してくれた社員さんの対応は非常に良心的だった。ディスプレイの質に問題があることを認め、すぐに交換に応じてくれた。また、交換後に同じ黄ばみがあれば、再度交換に応じてくれると言った。丁寧なお詫びの言葉ももらった。これで全てが解決すると思っていた。ヤマト運輸でiMacをアップルジャパンに送った。1週間前後で交換後のiMacが自宅に戻ってきたと記憶している。

交換後のiMacを起動して驚いた。また黄ばんでいたのだ。ディスプレイを交換したのは確かだった。それは間違いなかった。液晶の黄ばみの模様が明らかに違っていたからだ。付属していた修理結果の書かれた紙には、「特に問題はないが、お客様の要望で交換した」みたいなことが記載されていた。アップルジャパンに再度電話で問い合わせた。

電話に出た社員は前回の人とは違った。僕は液晶の黄ばみが改善されていないことを伝え、再度交換してもらえないかどうか相談してみた。相手の社員の対応は酷かった。ディスプレイの質に問題はないと言い切り、液晶の交換に難色を示した。最初に対応してくれた社員さんの話と大きな食い違いがあってかなり戸惑った。結局、しぶしぶ交換には応じてくれたが、その社員としてはあまり乗り気ではなかった感じだった。残念な事に、再度交換したiMacも黄ばみだらけだった。問題になった黄ばみ液晶を、次期ロットで新しい液晶に完全入れ替えて生産し直すには、かなりの期間を必要とするからだ。再々度、アップルジャパンに電話をしてみたが、電話に出た社員は「液晶には問題はない。これ以上の液晶交換も難しい」の一点張りだった。時間をかけて交渉した結果、その社員から、最後の液晶交換に応じるが、それが結果的に黄ばんでいようがいまいが、「交換はこれで最後」と伝えられた。

僕は「交換後の液晶が黄ばんでいないかどうか、修理工場で確かめてから送ってもらえないか」と、お願いしてみた。しかし、その社員は「別の部署がやっていることなので、現場に行って確認することは難しい」みたいなことを言われた。

スティーブ・ジョブズ氏にメールしたらトンデモないことになった件2

もうそれに応じるしかなかった。これでマトモな液晶がきてくれれば、面倒な修理手続きも終わる。そう願って、最後の望みに託したものの、その願いは叶わなかった。予想通り、最後の液晶も、黄ばみ液晶だった。もうどうにもすることができなくなったので、液晶が黄ばんだiMacを我慢して使っていた。そのうち使うのが嫌になっていた。しばらく経った日、Mac系ブログを読んでいて、海外のMacユーザーがスティーブ・ジョブズ氏にメールをしたら、時々返信がかえってくる話題を見かけた。自分もiMacの液晶のことをスティーブ・ジョブズ氏に相談してみようかなと、軽い気持ちでメールを書いてみることにした。ジョブズ氏のメルアドはネットで調べたら、すぐに検索できた(ネット上に落ちているアドレスが、本当に本人のアドレスなのかはわからなかった)。どうせ全く反応はないだろうと、本当に短い英文で、これまでの経緯と、「iMacの液晶を何とかしてもらえないでしょうか?」とメールを書いて送信してみた。

次の日、iPhoneに謎の着信が数件あった。登録していない番号だった。留守電にメッセージが入っていた。メッセージを確認すると、アップルジャパンの人からのものだった。

後で連絡をしてみると、社員さんが電話に出て「ちょっと大変なことになっているが、自分からは詳細は話せない」みたいなことを言っていた。 『やっぱり、俺何か悪いことでもしたのかな?』と本気で怖くなってきた。後で折り返し電話をくれるというので、しばらく待っていたら、iPhoneに電話がかかってきた。アップルジャパンのお偉いさんが出てきた。内心ビビリながら用件を聞いた。お偉いさんは、iMacの液晶交換の件で、アップルジャパンの対応を詫び、丁寧な対応で謝罪してくれたのだった。

そして、iMacを新品交換で対応させてほしいとの提案を提示してくれた。あまりの急な展開に、 自分は状況がよく掴めなった。何故こんなにも急に対応が変わったのか?お偉いさんと話をするうちに、「アメリカの本社」という言葉が何度か出てきた。 どうやら自分がスティーブ・ジョブズ氏に送ったメールが、Apple本社に届き、本社命令で緊急交換の指示が出たようだった。お偉いさんの焦りぶりと、Appleの指示の内容を察すると、かなりの厳命だったらしい。とにかく迅速に対応し、この件の報告書を提出しないとヤバイ感じだった。Apple本社の神レベルの対応が炸裂していた。その命令を出したのがスティーブ・ジョブズ氏なのか、それともApple本社の中の人なのかはわからない。それにしても、こんな一人のユーザーのために、Appleが本気モードで対応してくれるとは想像もしていなかったので、『本当にこんなことがあるんだ』と鳥肌が立っていた。

その後の展開は、早かった。iMac 27inch Core i7 はBTO製品のため、海外からの発送となった。黄ばみ液晶のiMacを返却し、1週間前後で新しいiMacが届いた。iMacの液晶は全く問題のないレベルだった。黄ばみが全くと言っていいほど見られない。届いてからのお偉いさんのフォローも良かった。数回のやりとりを得て、このiMacを使っていくことで、この問題は解決となった。