新・内海新聞 49号

伊豆半島の伊東市ににんじんジュースだけの断食施設があります。私は20年近く前から時々通っています。断食道場というようなものではなく、天然温泉付リゾートホテルといったほうが良いかもしれません。朝昼晩の三食を絞りたてのにんじんジュースだけで過ごします。思ったほどお腹はすきません。このジュースだけで1100kcalほどあり、成人に必要な1600kcalとほぼ変わらず、ミネラル分も十分あるのです。

しかし、脂肪・蛋白質・炭水化物を摂らないので消化器官や脳が冬眠に近い状態になります。生きていくためには脂肪・蛋白質・炭水化物は必要なのですが食事をしないので、体内のどこからか摂取を始めます。体の中の不要なものから順番に燃焼し始めます、血管内のコレステロール、体内脂肪、また老化した細胞や皮膚、また腫瘍なども燃焼し始めます。一日に約1kgのペースで体重が減少していきます。基本は一週間がワンクールで、5日間にんじんジュース断食、2日間がおかゆなどの捕食です。最近は有名になり政財界や芸能界の方々も沢山来られるようになりました。

友近忠至のシステム思考(6)「鉄と酸素」

前回に引き続き、友近さんのお話の続編です。愛媛県松山市にある「明屋書店(はるやしょてん)」に、大きなチャンスがやってきました。平凡社という大手出版社が国民百科事典というものを発売することになったのです。1967年のことです。全7巻で1万円の価格。百科事典としては破格の安さではありますが、当時、一般大衆が1万円も出して買えるようなものではありません。当時の大卒初任給が2万6千円くらいの時代です。そう簡単には売れません。購入した人は、医者や弁護士といった収入の高い人だけなので数セットの販売が限界でした。そこで友近さんは、いろいろなアンケートを取りました。国民百科事典を見せると、皆素晴らしいし、購入したいという。しかし、実際には売れていかない。一体何が原因なのか?その原因は、2つありました。

一つは、一万円もの大金を払えないこと。そして、もうひとつは大きな本を7巻も置く場所がないことでした。そこで、考え出されたのが本の月賦販売です。百科事典は最初に全巻お渡ししますが、お支払いは12回分割となります。これは、当時日本で初めての試みでした。毎月集金に行くのは手間ですが、売上がどんどん上がっていきました。また百科事典の置き場所がないという方には、押入れを改造して簡易本棚を作ることまでしていきました。これらの努力で日本一の販売数を記録することになります。

これが、大きな噂となって大手出版社の幹部が友近さんをスカウトしに来るようになったのです。友近さんご自身は転職の意思はなく、明屋書店を日本一の本屋にするという夢を安藤社長と約束したのですから聞く耳を持ちません。しかし、旺文社や新潮社や大手出版社の幹部が、破格の条件を持って何人も何回も訪問してくることになります。さすがの友近さんも悩み始めます。このことを安藤社長に相談する訳にもいかず毎日悶々としていたのです。そんな時、主婦と生活社という出版社の常務がやって来ます。女性の方でした。彼女もまたスカウトのミッションを持ってやって来たのでした。友近さんの余りに悩んでいる姿を見て、その方は自分のノートに、鉛筆で大きな○を書きました。

「ここに一個の砲丸投げの球があったとします。そしてその周囲には酸素で満たされていると思ってください。一体どうなると思いますか?」

「そうですね・・・・・。何も起こらないと思います。」

「そう、きっと何も起こらないわね。」

「では、今度は・・・」

と言ってハンドバックから自分の口紅を取り出したのです。次のページに口紅で同じように大きな○を書きました。そしてその丸の中を口紅がだめになるくらいグルグルと塗りつぶしました。

「さて、今度は同じ砲丸投げの球でも、まさに今溶鉱炉から出てきた真っ赤に燃えた鉄の球だとします。そして、そこに一粒の酸素がゆらゆらと飛んできました。さて、今度はどうなると思いますか?」

「そうですね。たぶんガスをひねってマッチを近づけた時と同じように、ボッと燃えるに違いありません。」

「そうそう。私もそう思います。」

実は、この鉄の球は、あなたの心なんです。そして酸素はあなたにとってのチャンスです。もしもあなたの心が真っ赤に燃えていたならば、向こうから反応して燃え始めるに違いありません。もしも、あなたの心が冷えた黒い鉄の球なら、いくらチャンスがやって来てもきっと何も起こらない。今は、そんなに悩まなくてもいいのです。今やっているお仕事で思いっきり頑張って燃えることです。そうすれば、きっとチャンスは向こうからやって来ます。私は、あなたをスカウトに来たのですが、諦めて帰ります。どうぞ、もっともっと燃えるようなお仕事をして下さいね。」そう言われて帰られました。

しかし、この方の言葉がご自身にとっての大きな励みとなり、悩みも消え、日々のお仕事に力が入るようになったそうです。今後、もしも東京に行くことになるにせよ、そのチャンスは向こうからやってくる。自分の与えられた人生に逆らわず、前向きに生きてゆこう。そう決心されたのです。私は、この話を「鉄と酸素」と名づけ、機会あるごとに話しています。友近さんご自身も、自分の生き方を決定付けた示唆のある言葉であったと言われています。

限定要因の引き上げ

高校時代に学んだ生物Ⅰに光合成というものがありました。植物が葉緑素によって光合成する仕組みのことです。この光合成には、重要な要素が3つあって、一つが光量。光の強さです。次が二酸化炭素の濃度、そして最後が温度です。

この3つが揃わないと十分機能しません。これらの条件を「限定要因」といいます。限定要因とは「今、一番足を引っ張っている要因」という意味です。たとえば、温暖な地域では、光量も十分であり、温度も十分。しかし、二酸化炭素が不足する可能性が高く、この二酸化炭素不足が光合成を妨げることになり、この場合、二酸化炭素が限定要因ということになります。あるいは、寒冷地では、不足する温度が限定要因となります。この様に不足することで機能が低下してしまいます。

この対策としては、不足するものを補填することです。不足するものを補填することで、全体の光合成量が増加します。図にあるように、一方が欠けたコップのイメージです。

左のa側の高さと、右のb側の高さのコップに水を入れてゆくと、b側に達した段階で水は溢れ出します。a側から溢れることはありません。

今度はb側の高さをcまで高くした場合、bを超えてcの高さまで水を一杯にできます。もともとbまでが限界だったものが、cまで水の量が増えることになります。

この限定要因の例えは、様々な分野で使われます。前号に、ある会社の女子社員の能力を引き上げた例を書きましたが、限定要因の引き上げが関係しています。

どのようなところにも限定要因は存在します。この限定要因の能力を引き上げることは全体の組織の能力の底上げになるということがいえるかも知れません。ところで、光合成とは不思議な機能です。水と二酸化炭素と光だけでアミノ酸やグルコースやでんぷんまで製造してしまいます。

確かに、その元素はC(炭素)とH(水素)とO(酸素)の3つだけですが、この3つは空気中に無限に存在し、この3つの組合せで糖やでんぷんを作り出します。子供の頃、植物に水しか与えないのにどうして生きているのだろう?お腹はすかないのだろうか?ずっと疑問でしたが、謎が解けました。

黄金比

いろいろなものに黄金比というものがあります。人間にとって最も安定し、美しい比率といわれる配分です。それは様々なところに存在します。例えば縦と横の長さの比の値が黄金比の近似値1:1.618である長方形。理由は判らないのですが妙に美しく安定感があります。

また、パルテノン宮殿は、建物の横幅と高さの比が1.6:1という黄金比だそうです。良く言われる瞳の黄金比は、(白目)対(黒目)対(白目)の比率が1:2:1といわれています。

一般的日本人の瞳は1:1.5:1で、やや黒目が小さい。たぶんその理由で、黒目の部分を少し大きくして黄金比に近づけるためのカラーコンタクトレンズが出来たのかもしれません。また美顔の黄金比というのもあります。

(1)唇の端から端の幅を測る。
(2)鼻の膨らみの端から端の幅を測る。
(3)(1)の口の長さ÷(2)の鼻の長さが

1.618に近いほど、モテ顔ということです。黄金比というのは、形のあるものだけではありません。飲食の中にもあります。たとえば、豚のしょうが焼きのタレなども、醤油:みりん:酒は、1:1:1が基本ですが、この比率はすき焼きのタレも、めんつゆも同じです。茶碗蒸しの黄金比は料亭の場合、溶き卵:だしの比率は1:4です。この比率で作るととてもやわらかい味になりますが、火加減が難しいので、家庭では1:3で作るのが一般的です。

さて、今、この黄金比で話題になっているお店があります。ウィスキーのハイボールが抜群に美味しいという銀座のお店です。このお店のハイボールは謎の黄金比で作られ、絶品の味になっています。カウンターと小さなテーブルだけの5坪ほどのお店ですが、客が殺到してしまい、Barなのに早々と23時頃には閉めてしまいます。日曜日などは20時に閉店です。この黄金比を探るべく通う人が後を絶ちません。価格は立ち飲みで700円。ご興味のある方は試されてはいかがでしょうか?

「ロックフィッシュ」
東京都中央区銀座7-2-14 第26ポールスタービル 2F
15時から営業中