新・内海新聞 40号

最近、急にスマートフォンを持っている人が増えました。近い将来、今までの携帯電話を逆転してしまうかもしれません。このスマートフォンは携帯電話というよりも、すでに小型コンピューターです。このスマートフォンの中に入っているプログラムの大きさは、みずほ銀行の中枢のコンピュータシステムのプログラムよりも大きいと聞いたことがあります。欠点は、まだまだ反応スピードが遅いことと、バッテリーの減りが早いことです。

かつて携帯電話でも同様の問題がありましたが、再びスマートフォンにもバッテリー寿命の課題が運命の分かれ道になるかもしれません。このスマートフォン、意外と年齢の高い人が利用されていることに気づきます。かく言う私もi-Phoneユーザーでしたが・・・。先日、電車に乗っていて気づいたことがあります。今まで携帯電話でメールしている人を見ると、まるで易者さんのように見えたのですが、スマートフォンになってから入力方法が違うせいか、まるでサルが毛づくろいしているように見えるのは私だけでしょうか?

マーケティング左手の法則

左手の法則というと、中学の理科の授業で習った「フレミング左手の法則」を想像されると思います。ここで言う左手の法則は「マーケティング左手の法則」です。会社を経営している友人の話です。彼は女子高校生対象のマーケティング会社を経営しています。女子高校生の最近の流行調査や新商品開発、また彼女たちへの情報発信の雑誌発行などを展開していて、この分野ではパイオニアです。彼は大学生のときにこの会社を創業しているので学生ベンチャーともいえます。あるときこんな話をしてくれました。

「女子高校生たちは、当社にとっては大切なお客様です。しかし、彼女たちも成長していきます。やがて女子大生になり、OLになり、主婦になり、母親になって行きます。そんな中で当社はどのような道を歩んでいけば良いのか?方向として二つ考えました。

一つは彼女たちの成長に合わせて、当社もそのステージを上げて対応してゆく方向です。その年齢とともに女子大生になれば女子大生対象のマーケティングを、OLになればOL向けのマーケティングを、主婦になれば主婦を対象にしたマーケティングを、母親になれば母親に向けてのマーケティングを展開し、幅広くフォローしてゆく方向です。

もう一つの方向は、当社はあくまで女子高生対象のマーケティング会社なので、一貫して女子高生だけを相手にし、それ以外はやらない。彼女たちはやがて、年齢とともに当社を卒業してゆきますが、次の世代の女子高生たちが次に育ってくる。今度はその新しい女子高生たちを対象にしたマーケティングを展開する。そんな女子高生だけを見ていく方向に進む方向。しかし、私も同じく年齢を重ねます。今は女子高生たちとの年齢差は余り無いのですが、やがてその差はどんどん開いてゆくことにも不安を感じます。」

そんな内容の話でした。結局、彼が選んだ方向は、あくまでも女子高生だけを対象にしたマーケティング会社を貫くというものでした。この時、私もいろいろ考えてみましたが、そんな時に生まれたのが、この「マーケティング左手の法則」です。図を見てください。

まっすぐ上に伸びる親指の方向。「垂直思考の方向」といいます。これは年齢とともに育ってゆく顧客に合わせてフォローシフトする戦略方向です。この戦略での事例がリクルートです。最初は大学生の新卒対象の求人情報から始まりましたが、やがて転職市場に進出。そして、中古自動車情報誌、住宅情報誌。これも賃貸住宅情報からマンション購入情報へ展開し、資産運用情報誌、結婚情報誌、そして赤ちゃんの情報誌へと展開しています。一人の顧客の成長とともに、情報を進化させてきています。これは、莫大はコストと、多くの人材が必要になってきます。

次に、図の真横に伸びる人差し指の方向。「水平思考の方向」といいます。これは、あくまで一箇所だけを見つめる一点集中型戦略です。先ほどの彼はこの水平思考の方向を選びました。この水平思考の方向での事例が丸井です。あくまで10代から20代の若者を対象にしたビジネスを展開し、垂直展開はあまりされません。

最後が図の中指の真横に伸びる方向です。「横展開の方向」といいます。これは、水平思考なのですが、その今の顧客の分析を行い、その周辺にある新たなニーズを掘り起こし、同じ顧客に別の商品を提供してゆく方向です。この分野での事例は人材派遣サービスです。各職種の派遣業務にスタッフを派遣しますが、やがて派遣スタッフ同士の競争が激しくなります。その為にスキルアップを図るメニューを開発し提供し始めます。

パソコン入力や英会話、マナー教育、各種資格取得などなど。これらの講習を受講してスキルをつければ、仕事のチャンスも増えますし、また時給のアップにも繋がります。会社としても教育事業という新しいビジネスが生まれることになります。この教育事業が横展開事業になります。これら3つの方向は、それぞれ展開するために必要な体力や能力が分かれていて、どの方向が現在一番ふさわしいのか見極める必要がありますが、企業分析をする上で面白い見方でもあります。

リカバリーウェア(休養専用のウェア)

私は、各地でマーケティングの勉強会を開催していますが、小田原の塾生の片野さんという方が新会社を創業、その新商品が注目を浴びています。それが「リカバリーウェア(休養専用ウェア)」です。私も初めて聞きました。「休養専用???」。

運動機能強化の水着やシューズやウェアは沢山あり、世界のメーカーが競っていますが、このリカバリーウェアは、その運動のあと本来人間が持つ回復力のパフォーマンスを最大限に引き出すためのものだそうです。従来の方式というのは、筋肉を締め付けて血管を絞り血行を促進し、疲労物質を取り除く方法でした。しかし、このリカバリーウェアは素材に工夫があるそうです。それは、ポリエステル繊維にナノメートル単位で構成するオリジナル素材「DPV-576」という人間の血行を良くする素材が使用されているということ。この素材は、米国UCLAドリュー医科大学のマンドゥー・ドーナム博士が実施した免疫活性実験でその効果が実証されたそうです。現在、様々な分野のプロスポーツ選手からの引き合いが続いているようです。

機能強化のためのものというのは数多くありますが、リカバリーするという発想はとても面白いと思いました。確かに聞いたことがありません。ものごとには裏と表があって、その双方にヒントがあることが多いものです。今回のこの企画もあったようでなかった面白い製品ができたと思います。こういうのを逆転の発想というのでしょうか?先日、大阪内海塾の塾生からこんな面白い話を聞きました。

その方は、最近北海道のトマムリゾートというところに旅行に行ったそうです。大変豪華なホテルで、一部屋100平方メートル以上あるスイートルームしかない豪華ホテルです。しかし、バブルが崩壊して、ホテルも経営難になりました。そのホテルの再建にやってきたのが、軽井沢で星野リゾートを経営する星野社長です。この星野さんの発想が面白い。冬には氷点下15度になる激寒の地ならば、いっそのこと氷でホテルを作ってしまえ!とすべて氷でできた建物を建設。ベッドもテーブルも椅子も食器もBarもレストランもすべて氷でできています。氷の鍋に断熱材を敷いたチーズフォンデューが名物だそうです。裏山にケーブルで昇ると絶景なのですが、しょっちゅうガスが出てほとんど景色が見えない日が多いそうです。そこでこのガスでできた雲海を見よう!という雲海テラスを作って、大雲海を見ながらのモーニングコーヒーが話題になり大いに賑わっているそうです。逆転の発想とは楽しいものです。

日本、石油大国への道(オーランチオキトリウム)

昨年末、画期的研究成果が学会で発表されました。エネルギー問題を解決するかもしれない藻が発見されたのです。その藻は「オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)」といいます。葉緑素を含まない従属栄養生物の仲間です。この藻の何がすごいかというと、自ら重油(炭化水素)を生産すること
です。

これまでも同様の機能をもった藻は発見されていたのですが、このオーランチオキトリウムは従来のものよりも10倍以上の効率で生産をします。仮に深さ1mの水槽で培養したとすると、面積1ヘクタールあたり年間約1万トンの重油(炭化水素)を作り出せると試算されています。これは2万ヘクタールの培養面積があれば、日本の年間石油消費量をまかなえる量であり、滋賀県の琵琶湖を使って大量生産を開始すれば国内の石油需要を十分にまかない、さらに海外に向けての輸出も可能となります。

現在、耕作放棄地などを利用した生産が考えられているそうです。エチルアルコールに換算すれば、今までは1リットル800円かかっていたものが、1リットル50円程度になる計算です。将来、電気自動車よりもコストの安いアルコール自動車が誕生するかも知れません。

オーランチオキトリウムは水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら重油を生成することも可能であり一石二鳥の効果があります。この研究をしたのは、筑波大学の渡辺信教授チームで、沖縄で発見された藻を特殊な方法で分離・再編を繰返し生成されました。 この方法は既に特許申請されており、国家プロジェクトとしてその将来が期待されています。 しかし、産業構造が大きく変わってしまう可能性も含めて、石油利権との調整が今後の問題になってくるかも知れません。