新・内海新聞 32号

先日、ある釜飯屋さんで、食事をしていた時、後から関西から来た風の二人連れのやや粗雑な男性客が入ってきました。なにやら機嫌が悪そうです。60代のおばさんが接客をしていました。男性客は早口の関西弁でまくし立てて注文します。

「何かあさり系の釜飯はあるんか?」そうしたら、おばさんもここぞとばかり、「はい、いろいろございます。アサリづくし釜飯や、三色釜飯。これはアサリとハマグリがたっぷり入ってございます。アサリではありませんが、海鮮釜飯というのがございまして、ズワイガニがたっぷり入って好評でございます。やはり、アサリがお好みで・・・?」するとその男性「誰がアサリの話しとんねん。ワシはあっさり系の釜飯はないか?いうて聞いとんねん。どアホ!」私は関西なので、こんな会話のやり取りは慣れているのですが、初めての人は怖いだろうな・・・と思いつつも、しかし、そのおばさんも負けてません。「キリンのフリーはあるんか?」「キリンでしたら一番絞りがよ~く冷えてございますが・・・」「フリーや!、ノンアルコールのこっちゃ。」「おばはん、笑かしてくれるやないか」笑いました。

株式会社ダイヤルキューネットワーク 終わり

株式会社ダイヤルキューネットワークは、1991年4月に破産しました。たった1年6ヶ月の短い期間でしたが、その後のインターネット時代に向けて大きな足跡を残しました。またその後のダイヤルキューツーは、やはりダーティーなイメージが定着してしまい、その後の発展はありませんでした。ダイヤルキューネットワークのメンバーたちは、その後どうなったのでしょうか?

まず、代表取締役社長であった玉置真理氏は、当時、東京大学法学部の現役大学生でしたが、その後、株式会社ファミリービスという会社を再び起業しました。そのファミリービスは順調に発展し、株式会社ザッパラスとして株式上場を果たし、現在東証一部企業として活躍しています。専務であった真田哲弥氏は、数年間いろいろな仕事を経験し、これからは携帯電話の時代がやってくると予測し、株式会社アクセスに入社し、そのノウハウを蓄積し、友人たちと株式会社サイバードを起業し、この会社も上場を果たします。真田氏は、現在、株式会社klabの代表取締役として携帯電話のソフトウェア開発を中心に、モバイル業界を牽引しています。

また、板倉雄一郎さんは、インターネット時代を見据えて、株式会社ハイパーネットを創業し、広告を見ることで無料でインターネットブラウザーが見られるシステムを開発し、マイクロソフトのビル・ゲイツが視察に来るほどの話題を呼びました。現在彼は、作家としてITコンサルタントとして活躍中です。取締役であった佐藤修氏は、株式会社グッドウィルを創業し、人材ビジネスの新分野を開拓し、株式上場を果たします。その後、佐藤氏は、上場後、新たな事業創造のためにさらに起業し、株式会社マスターピースグループ代表取締役として中国インドを舞台に活躍中です。

また取締役であった西山裕之氏は、株式会社まぐクリックを創業し、至上最短で株式上場を果たし、現在、株式会社GMOインターネットの専務取締役として活躍中です。新卒採用で入社した加藤順彦氏は、その後、インターネット広告専門の広告代理店である株式会社日広を創業し、インターネット広告では一時、電通を上回る売上を誇りました。現在、加藤氏はシンガポールに在籍し、経営コンサルティングとして活躍中です。

まだまだ、多くの人材を輩出し、世界に誇るモバイルインターネットの分野を開拓し、多くの企業を上場まで導いたその功績は素晴らしいといえるでしょう。ダイヤルキューネットワークが、なぜモバイルインターネットに繋がっていったのでしょうか?ダイヤルキューには、2つの大きな特徴があります。

一つ目は、電話端末でいつでも簡単に情報を見ることができる点。2つ目は、その情報料金の回収を、電話料金と一緒に回収してくれる点です。しかし、この便利なシステムにも大きな問題がありました。それは、そのサービスの告知に、多大な広告費用が必要な点です。ダイヤルキューの電話番号を告知して利用してもらうためには、さまざまなメディアへの広告の露出が必須でした。一方、携帯電話では、DoCoMoのⅰ-modeが有名ですが、ⅰ-modeとダイヤルキューには共通点がありました。携帯電話で、情報を見ることができる点と、その利用料を携帯電話料金で一括回収する点です。しかも、ⅰ-modeには、ダイヤルキューには無いサービスがありました。そのⅰ-modeのアプリをキャリアであるDoCoMoが告知したことです。ダイヤルキューの場合は、サービスを提供する会社が広告をしなければなりませんでしたが、ⅰ-modeでは、DoCoMoが、そのサイトを自由に携帯電話で検索できるようにしてくれたのです。もちろんその分の費用は取られるのですが、広告費用に比べれば、格段に安価です。株式会社ダイヤルキューネットワークからみれば、至れり尽くせりのメニューをDoCoMoが用意してくれているように見えます。

さらに、そのアプリのサイトの内容もDoCoMoが、公序良俗のチェックをしているので、ダイヤルキューのようなダーティーなイメージもありません。ⅰ-modeは、その他の携帯電話キャリアにも同様のサービスが始まり、さらに大きく拡大しました。今から20年以上前に、当時の大学生たちが留年覚悟で事業創造に取り組んだ時代があったということは、まるで奇跡のようだ・・・と40歳を越えた彼らとよく話します。一体あれは、何だったのだろうか?現在の日本を見渡すと、沈滞した日本経済の中で、ベンチャーを興そうという大学生にめぐり合うのは至難の業です。

しかし、今の大学生の心の中に「一旗揚げてやろう!」という心意気が無いとはとても思えません。それは、何かのきっかけさえあれば再び動き出すものだと思っています。そのきっかけとは、やはり「人」なのだと思います。たった一人の「ベンチャーの志士」が登場することで一変するはずだと・・・。真田哲弥氏のような・・・・。

コレクターズ・マーケティング

コレクター。世の中にはいろいろなものを集めている人がいます。先日もある倉庫屋さんとお話していて、驚いたことがありました。大型の観光バスを集めている方がいるそうです。ミニチュアではありません。本物の大型観光バスです。その集めている方にとっては、たまらないも醍醐味があるのでしょう。自宅の近所のかたは、古い建物のコレクターがいます。何十年前のホテルや、民家、旅館などを集めています。電気も水道もない廃墟を集めていて、それを自分でコツコツと修理するのです。私は、万年筆コレクターです。機械的には完成されていて、しかも非常に単純な構造に見せられて、海外に行ったときなどは現地で見つけた万年筆を一本買ってきます。人は、なぜいろいろなものを集めたがるのでしょうか?そのもの自体が何か大きな儲けになるとか、メリットがあるとは思えませんが、大きなお金を投資して、大事に保存します。

先日、秋葉原のラジオ会館に行ったら、ガチャガチャのマシンが一杯置いてありました。特に秋葉原には多いです。このガチャガチャの中身を集めている人が大変多いそうです。ラジオ会館には、ガチャガチャマシンの横にレンタルケースというのが置いてあって、重複して手に入れてしまったものを、そのケースに入れておいて、販売する人がいます。いろいろな商売があるものです。このガチャガチャも専門店があって、秋葉原ガチャポン会館というのがあって、ガチャガチャコレクターにとっては、聖地と言われています。このコレクターという習性は、「人は好きなことを繰り返す」という「好みの管理手法」で考えるとわかりやすい。たった一個の腕時計を持っている人は、おそらくその時計が壊れるまで使い続けると思います。しかし、3個以上腕時計を持っている人は、「次はどんな腕時計を買おうか?」と考えている人です。つまり、後者はコレクターといえます。

さまざまな顧客分析の手法がありますが、はっきり判ることは、人は好きなことを繰り返す・・・ということですので、その人が好きなものを探すことが先決です。そして好きなものは必ず沢山持っています。マーケティングをするにあたって、一人の人が同様のものを何個買っているのかを調べるとは重要です。コレクターかどうか調べることに通じます。コレクターにとって、その商品は見ているだけでも楽しいものですので、営業活動も大歓迎といえるかもしれません。

ひとつのアイテムで過去1年間に複数個以上購入したお客様を調査し、あのアイテムごとのコレクター度をしらべ、グループ分けを行います。それぞれのアイテムのグループに対して、そのアイテムの専用の紹介記事やパンフレットを作りご案内します。あくまでそのアイテム専用であるところがミソです。身の回りを見ていても、いろいろなコレクターはいるものです。靴を集める人、スーツを集める人、アロマキャンドルを集める人、かばんを集める人・・・そのマーケットは巨大です。。

生簀(いけす)マーケティング

よく、すし屋や居酒屋などに行くと、大きな水槽が置いてあり、あわびや魚が入れてあります。専門的には「活魚水槽」といいます。生きた魚を入れる水槽です。「いけすマーケティング」とは、このいけすの中に泳ぐ魚を顧客とみたてて、マーケティングを考えるというものです。いけすの中には、だいたい同じ種類の魚が泳いでおり、その習性は近いものばかりです。このいけすの中の魚の習性を分析して、釣竿を出せば、高確率でヒットします。顧客を魚に見立てるのは、大変失礼な話しではありますが、非常に立体的に駆使できるマーケティング手法です。

まず「いけす」の大きさや種類を決定します。大きないけすなのか、小さな水槽なのか?そのいけすに入る魚は何なのか?またその魚をいけすに入れるのにも工夫が要ります。魚が自らすすんでいけすの中に入ってきてくれる仕掛けを作る必要があります。釣りで言えば「撒き餌」をしなければなりません。

このようにして、いけすの中に入ってきた魚には、共通の習性があり、その習性に逆らわないように、餌を変え、タイミグを変えて、魚を釣り上げていきます。

前述した「好みの管理」というマーケティング手法があります。人の行動をルール化すること・・・という考え方をマーケティングと定義化します。そのルールのひとつに「人は好きなことを繰り返す」というものがあります。この繰り返しの部分を分析し、ルール化することが「好みの管理」です。

いけすの中に入る魚は、この「繰り返す」という、同じ行動パターンをもった魚に限られます。その習性的に、ある「モノ」、あるいは「コト」に対して繰り返し行動があり、そのルールに従って餌を用意し与えていくのです。

通常のデータベースマーケティングとでは、まずリストを収集し、そのリストの中を分析して、嗜好やカテゴリーで分析して、それにあわせたマーケティング戦略をとりますが、この「いけすマーケティング」は、そのリストの収集のところから違います。そのリスト収集の段階から、ある特定の反復性をもった嗜好のものだけを集めるところです。この反復性の習性が前述のコレクターマーケティングに通じる部分でもあります。