新・内海新聞 13号

先月に引き続き、糸川英夫博士の話を少し。糸川博士の著書で「逆転の発想」という本があります。その中に「フラスコ産業を探せ」という話がありました。化学の実験で使うフラスコです。フラスコの市場もニーズも小さく新たな参入の余地は無く、・・・・といって既に淘汰されていてわずかなメーカーが生き残っている斜陽産業といえます。

しかし、別の見方をすると閉域な独占企業。それにフラスコの需要は大きくはならないが決してなくならない。このような業界を見つける、あるいは創り出すことができれば経営は安定する・・・というものでした。では、他にフラスコ産業のようなところは無いのか?・・・ありました。おみくじメーカーです。おみくじは全国の70%を山口県の「女子道社」というところで製造しています。まさに独占企業です。

おみくじの原価は1円!

冒頭でおみくじメーカーの女子道社(山口県)の話がでましたが、このおみくじを研究した人がいます。私の友人で金子哲雄さんです。

販売促進という言葉がありますが、これはどうしても売り手の発想からでてきた言葉。買い手の顧客側に立って考えたら「購買促進」となります。

そこで金子さんは自らを「購買促進コンサルタント」と自己紹介されています。そんな金子哲雄さんが出版された本「おみくじの原価は1円!」はとてもおもしろいです。タイトルも興味をそそりますが、書かれている数々のエピソードも引き込まれてしまいます。たとえば、最初に金子さんの子供の頃の面白いエピソードが書かれてあります。ある日、友人と神社で遊んでいたとき、無人のおみくじ売り場がありました。料金箱に100円を入れると、おみくじをひとつ引くことができます。友人はおみくじをひとつ引きました。そして中に書いてあることを読んでから、また売り場に戻したのです。金子さんは友人に聞きました。

「お金は払わないの?」
「うん払わないよ。戻したんだから払わない。」
「えー、それって万引きと一緒じゃないの?」
「関係ないよ。おみくじ自体は返したし・・・」

彼は、悩んでしまいました。おみくじの原価って一体何なんだろう?中に書いてある「大吉」とか「中吉」とか「待ち人来たらず」とか・・・そういう内容が原価ではないのか?でもこの言葉は一応神様が言われている言葉なので、それに原価が発生しているというのも変な話。この友人の言っていることは正しいかも・・・。

本当はいくらなのか?を探求する旅にでます。そして、行き着いたところが山口県周防にある、「女子道社」というおみくじメーカーでした。この女子道社は全国のおみくじの約70%のシェアを持ち、ダントツのトップ企業です。結局、このおみくじの直接原価は紙代とインク代ということになり約1円だとわかりました。

最初はおみくじの販売価格も神社によってまちまちでしたが、大体100円と取り決めたのもこの会社。更におみくじをシステム化するために「おみくじの自動販売機」を発明したのもこの会社です。

金子さんはおみくじの原価を突き止めたことがきっかけで流通やモノの価格や値決めに興味をもち、徹底的に調べあげ「購買促進ジャーナリスト」としての地位を確立します。ハンバーガー屋の利益の構造はどうなっているのか?なぜセットメニューがあるのか?

コンビニエンスストアのレジ周りになぜ大福餅が置いてあるのか?マンションの製造原価はいったいいくらでどれくらい儲けているのか?

世の中、気がつかないうちに「暴利多売」の構造が出来上がっている。現在は日本テレビのみのもんたの「おもいっきりイイテレビ」のレギュラー講師をはじめマスコミで引っ張りだこです。ちなみに、コンビニエンスストアの一番儲かる商品は?・・・・それは、コピーらしいです。

不況のアメリカで好況業種とは?

なんと葬儀ビジネスらしい。確かに人は必ず死ぬことになるし葬儀も必要 。しかも、ベビーブーマー世代が予備軍でひかえているし・・・。故人の生きてきた証しを残したいとか、生前の名誉を讃えたいとか・・・。

会社を創業したころ、ある勉強会でハンカチ屋さんの社長と出会いました。ハンカチを作って販売しています。そしてその売上を聞いてびっくりしました。「年商200億円!」なんでハンカチで200億円も売れるの?!社長はニヤニヤして教えてくれました。

「供養品のハンカチですよ。葬儀の時に参列者へお渡しするお礼の品です。」
なるほどそうか!確かにハンカチとかお茶とかお礼状と一緒に頂くものがある。そして参列者の人数分必要。これを葬儀会社を通じて卸しているらしい。これで200億円!ほぼ独占企業なのではないか?その社長の話に聞き入ってしまった。参列された方は自分の住所名前を記入するが、それをコンピューターでデーターベース化するサービスも始められた。そして、言葉の表現は悪いが葬儀に来られる方々も同じような年齢の方が多く葬儀予備軍。

その方々に、自分の自叙伝を書いてゆけるようなキットを作ってお持ち帰りいただいていて、顧客データベース化している。更に会計士と組んで、遺産相続から税務相談までのアフターケアのサービスを始められた。遺産相続で一番多いのが不動産相続。

これが大変厄介で現金ではないので税金が支払えない。そこで、この対策は土地を売ることだろうと会計士と組んで不動産仲介会社も始められた。すごいシナジーです。とにかく、今アメリカで注目されているのが、この葬儀ビジネスということです。葬儀は人口の数だけマーケットは存在します。 葬儀だけではない、「袋」の出るライフイベントという見方をすると面白いです。

以前、私は「ご祝儀袋マーケティング」というのを 考えたことがある。人生のライフイベントのご祝儀が「出るタイミングを狙え!」である、ご祝儀袋が出るタイミングです。それは、「誕生」「進学」「就職」「結婚」「新居」「定年」「葬儀」という7回のタイミングがあると大きく決めました。そして、そのニーズは以下の通り。

「誕生・・・・健康で生まれて欲しい 」
「進学・・・・必ず合格したい 」
「就職・・・・第一志望の内定が欲しい 」
「結婚・・・・ステキな披露宴を見せたい 」
「新居・・・・家族構成を考えるタイミング 」
「定年・・・・第二の人生をどう生きるか」
「葬儀・・・・生きてきた記念、証しを考える」

ご祝儀に葬式はどうかとは思うが「袋」が出るには変わりはありません。 ご祝儀袋ビジネスはまだまだ伸びる余地があるはずです。

このご祝儀袋ビジネスの特徴は
1、値切らない
2、豪華志向
3、周囲も巻き込める
4、必ずある

景気不景気に関係なく、人の生活の中には必ずそれなりのニーズがあるものです。

好みの論理

「好みの論理」
人は好きなことを繰り返す…という法則。繰り返すから、癖になる。日頃美味しいと思っているものでも、今一度、なぜ美味しいと思うんだろう… と、考えてみました。

「そんなもん、美味しいから美味しいんだ!! 」

そう言われるかも知れませんが、本当にそうなのでしょうか?おいしいという感覚はとても曲者です。人によっても環境によっても、また体調によってもまちまちです。

「あそこのラーメン屋さんはすごく美味しいから!」といわれて行ってみて
「えっ?なんでこれが美味しいの?!」ということが良くある。

実は…
慣れた味だから、昔から食べているから、 そして、その慣れた味に近いか遠いかで美味しいまずいの感覚が支配されているかもしれません。初めて食べるものでも、 慣れている何かに似ているから美味しいと思うのではないでしょうか?

昔なじみの味… つまり、子供の頃に刷り込まれた味が(それは6歳までに決定すると言われます) その後の人生の味覚を支配するという人もいます。たとえば、嫁と姑の争いの根もこんなところにあるのかもしれません。

おふくろの味…これが曲者。おふくろの味は、美味しいのではなく、ただ慣れた味なのです。嫁は、親しんでいないし、慣れてないので決して美味しいとは思わない。やっぱり実家の味がいいと思っています。でも、その味で育った旦那は「やっぱりお袋の味噌汁は旨い!」と褒める。何かとても根深い・・・。

もしも、6歳児までの味覚形成をコントロールできれば、 その後の食生活を支配できるかも知れない。