元気の素 第45号

前回の元気の素で【経験値の伝達は、その距離に反比例する】を書きましたが、その後さまざまな方々から、それは、経験値の伝達は、その距離に正比例する・・・ではないのですか?というものでした。普通に考えればそうかも知れませんが。相手との距離が短くなればなるほど、その伝達スピードは上がってゆくのですから「反比例」です。

黄金のおにぎり

私の大切な友人に今井祥雅(よしのり)さんという方がいます。
今井さんは、東京都品川で株式会社マインドシェアという会社を経営されている社長さんです。もう十数年来の友人になります。

一言で言うとマーケティング会社です。会うたびに「目からウロコ」のお話を聞かせてもらえます。「さすがマーケティング会社!」「んっ?!」マーケティングっていつも簡単に使う言葉ですが・・・・いったい「マーケティング」って何?このマーケティングという言葉は英語ですが、これにぴったりくる日本語はないのだ・・・と誰かに聞きました。

マーケティング部とかマーケティングリサーチとか、ワンツーワンマーケティング・・・とかいっぱい言葉は知っているけれど、その意味がしっくりこない。という訳で、今井さんのセミナーに出て勉強することにしました。「マインドシェアマーケティングセミナー2005」というセミナーでしたが、参加して良かったというのが感想です。ブランドという言葉は良く聞くのですが、本当のその意味を解っていませんでした。

ルイヴィトンやグッチ、シャネルやブルガリ・・・何か高級感というのがブランドイメージでした。しかし、結論から言うとブランドとはお客様への「約束」という意味とのことです。品質を保証する約束、期待を裏切らない約束・・・その「約束」のためにきっちりとした理論に基づいて実行していかなければならないことを教えてもらいました。

その時、お土産にもらったのが「黄金のおにぎり」という本です。コミカルな表紙なのでいったいどういう本なのだろうと1ページ目をめくってから一気に最後まで読み抜いてしまいました。ある脱サラしたサラリーマンが一念発起して「黄金(こがね)にぎり」というおにぎり屋さんを開店します。最初は全く鳴かず飛ばずだったそのお店をさまざまな人たちの協力で「ブランド戦略」に沿って人気店に育てていくストーリー。もちろんフィクションですが、題材が街のおにぎり屋さんであり、わかりやすい展開で「ブランディング」を学習できました。

全く売れなかったおにぎり屋さんがトレードマークを創ったり、「お寿司屋さんも食べてます。」といったキャッチコピーを考えたり、黄金にぎりのコンセプトを絞ったり・・・話はおにぎり屋さんですが実は企業活動と全く同じ流れで進んでいきます。興味深かったのは、コンセプトづくりのところ。黄金にぎりは、「毎日楽しめる気軽でヘルシーなお米の美味しさを提供する」ということに決定し、そしてそれを支えるパーソナリティーは、「元気」で「明るい」ということになりました。その後、フランス留学帰りの娘が考えたフランス風おにぎりが登場。今までに味わったことのない洋風の味付けで、社内アンケートでも売るべしの大合唱。チーズや香辛料など味に主張があります。最初爆発的に売れたのですが、やがて失速。

これは、お客様に聞くしかないと直接訪問して買わなくなった理由を聞くと「味が濃くて毎日だと飽きてしまう。」「たまに食べるなら美味しいけれど、普段はコンビニのおにぎりで十分!」それはコンセプトの「毎日楽しめる気軽でヘルシーなお米の美味しさ」を外した結果の客離れだと知って後悔する部分でした。聞くところによると、すでに第三版らしい。お奨めの一冊です。

個人情報公開法

今、日本は4月1日に迫った「個人情報保護法」施行に向け大騒ぎです。とにかく個人情報重視ですべてのシステムを作り直さなければなりません。個人情報保護法がなぜ今になって問題になっているかというと、この法律に一つ爆弾が仕掛けられているからです。

---その前に個人情報とは何か?について説明しますと、「生存する人間であって、その個人を特定できる情報」となります。死者に個人情報はありません。建物や住所にも個人情報はありません。住所になくとも、そこに個人名がつけば個人情報になります。死者であっても遺族などの情報がつけば個人情報になります。

会社のなかには、気がつかないところに個人情報がたくさん埋もれています。アンケート用紙、履歴書のコピー、名刺、申込書、郵便物・・・・キリがありません。それから、個人情報漏洩と情報セキュリティーを混同している方が多いと思います。個人情報漏洩とは、たとえば電話帳情報を使って、関係のないダイレクトメールを送付するようなことで、本来とは違う目的に使う、つまり目的外利用がこれに当たります。

一方、情報セキュリティーとは、個人情報を第三者が盗み出したとか、電話に顧客情報の入ったパソコンを置き忘れて紛失したとかいう管理監督の点での問題をいいます。いま、新聞でいろいろ報道される事故は、どちらかというと、情報セキュリティーの問題が殆どです。

---さて、今回の「個人情報保護法」に仕掛けられた時限爆弾とは以下のようなものです。もしも企業が個人情報が絡む業務を外部に委託して、その先で個人情報が流出し、それが発覚した場合、そのすべての責任は事故を起こした外注先ではなく発注した企業に責任があるというところです。ですから、業者を厳格に査定し、問題のある業者はどんどん淘汰されていきます。ですので、個人情報を扱う個人情報事業者は情報セキュリティーも含めた設備増強や人材の育成が要求されています。準備する企業は大変です。

さて、天邪鬼な私はいつも反対のことを考えてしまいます。人は個人情報を保護したがっている・・・という前提ですべて話が進んでいます。物事には、表もあれば裏もある。個人情報保護ではなく「個人情報公開法」という法律にしたほうが良いのでは?と考えてしまいます。

自分の個人情報を公開したい人も一杯いるようにも思うのです。自分の個人情報を公開するから、どんどん利用してほしいという人を促進する法律です。これをしてはならない、これを守らなければならないということではなく、個人情報を流通させることで、いかに経済を活性化させることができるか?個人情報を公開して、自分のほしい情報をいかに沢山手にいれるか?ということがあっても良いかも・・・自分の個人情報、たとえば趣味や購入計画などを出版社に公開する代わりに書籍が10分の1で手に入る・・・とか、自分の経験談や嗜好を公開することで、レストランが定価の半額で利用できる・・・などですが、モノは考え方です。

「疑う」ということは「コストがかかる」ということです。

イタリアンはお酢が大事

先日も大好きなお蕎麦屋さんに行きました。そうしたら女将さんから「今日は来ると思ってたわ」と不思議なご挨拶。

なにやら聞いてほしい話があったらしい。数日前にイタリア人がお蕎麦を食べに来店しました。そうしたらそのイタリア人は「これこそイタリア料理!」ボーノ・ボーノと絶賛。不思議なことに、同じようにその日、また別のイタリア人がお店に来たのです。この二人は申し合わせてきた訳ではありません。全くの偶然です。その二人目のイタリア人も、これこそイタリアンと絶賛。なんとも不思議なことがあるものだと思ったそうです。

そのお店はメニューがありません。すべてコースになっていてお昼しか営業しません。日本酒が一合、きのこと大根おろし、ざる蕎麦一枚、大皿一杯の野沢菜と白菜のお漬物、長野県の花豆の甘煮。でワンセットです。この質素なところが本来のイタリア料理なのだそうです。そして、あの酸っぱい野沢菜のお漬物もイタリア人は気に入ったようです。

ついに、自分の経営しているイタリアンのお店を任せたいという話までになってしまいました。このお蕎麦屋さん自体がイタリア料理店そのものなのだそうです。何もしなくていいから、女将さんがイタリア料理のお店にいてくれるだけでいいと・・・。そして、そのイタリア人は、イタリア料理について話してくれました。イタリア料理で一番大切な大切なものは「お酢」なのだということです。

「お酢」の使い方次第でワインの味が全く変わるといわれます。「お酢」の使い方でそのシェフの腕が決まるのだそうです。