内海新聞 13号

編集長より:「なぜこの新聞が送られてくるのだろう?!」と不思議に思われた方も多いと思います。お仕事の関係で以前名刺交換させていただいた方、まだ面識はないけれど弊社の誰かと名刺交換をさせていただいた方を中心に一方的に送らせて頂いております。もしもご迷惑な場合はどうそ送付停止とご連絡いただけますでしょうか?宜しくお願い致します。

40年前のアイデア

私が子供の頃、兄妹3人に対して母が真剣な顔で言いました。「お母さんは美容師の学校へ行こうと思うの?」3人並んで椅子に座らされ、母はその前にひざまずき同じ目線で話してくれました。

「お母さんは美容師になって美容院を開こうと思う。」私たちは何がなんだか判りません。びようしとかびよういんとか何のことやらさっぱり・・・。その後だいぶん年月が経ってからその内容を理解する事になります。
「お母さんは、このままではだめだと思う。何か手に職をつけておかないと・・・・」
祖父は大阪で「北方(きたかた)製作所」という大きな機械工具のメーカーを経営していました。その祖父の尊敬する経営者は一歳年上の松下幸之助さんでした。

大阪の事業家同士で親しく交流するようになり、母も中元歳暮の時には、必ず西宮のご自宅までお届け物で訪問していました。そんな二人の経営者をみて育った母には事業家としての素養が育っていったのかもしれません。高ぶる自分の気持ちを時として抑えられない事があるようです。現在、母は71歳になりましたが、日経新聞と週刊ダイヤモンドを愛読し、私ならこうするのに・・・と世の中の他人の商売を勝手にシミュレーションして楽しんでいます。いつかまた会社を興すのではないか・・と私はドキドキしています。

話が横道にそれてしまいました。その時、母が目指した美容院・・・それはカットだけの美容院でした。
「美容院は高いので2ヶ月に一回くらいパーマをあてればいい。でも髪の毛はのびていくのでカットはしなければいけない。しかもカットだけは自分ではできない。だからカットだけのマーケットニーズは必ずある!」というのが母の理由です。もちろん、子供の私には何をいっているのかは判りませんでした。その後何度も母が、私たちにlこの時の事を話してくれたので覚えているのです。

カットだけの美容室・・・たぶん当時では世界初だったと思います。結局、私たちが幼く経済的に苦しかったことから、この計画は実現しませんでした。母のこのような生活者側からいつもものを見る姿勢はその後、私に大きな影響を与えました。最近になって、カット専門の理髪店のフランチャイズチェーンができて急成長していると聞きました。40年前にやっていればうまく成功したかどうかは判りません。

母は言います。考える事は誰でもできる。実際に行動することこそ大切。計画でやめたならそれはただの夢です。行動してこそ他人を巻き込み大きな力となって事業が具体化してゆくもの・・・。たしかに、私の記憶にはいつも手足を動かして働いてる母の姿しかありません。母は、私のこの世の中でもっとも尊敬する経営者のひとりなのです。

村さ来

店を始めて何年かした頃、ファミリーレストランブームが起こりました。私の地元にもロイヤルと大阪ガスが共同でOGロイヤルという会社ができて出店攻勢が続きました。

セントラルキッチン。聞きなれない言葉でしたが、集中生産してコストダウンするシステムといえばよいのでしょうか?もう絶対に地元の飲食業は勝てない。相当な危機感をもったものです。さらに、しばらくして居酒屋ブームが起こりました。近くに「村さ来」ができました。

その頃このオーナーの清宮勝一社長の自伝が出版されました。私は購入して何度も読みました。チュウハイの一気飲みのブームを起こした会社です。世の中にはこんな凄い経営者がいる。その頃の私は八百屋とラーメン屋の二毛作。偵察の為に村さ来に行きました。あまりのメニューの多さと値段の安さにがっくり肩を落としたことを覚えています。それから、10年後東京に出てきた私は、ある人の紹介で清宮社長に会うことができました。一緒にお寿司屋さんに連れていっていただき、美味しいお寿司をご馳走になったのです。

私はそれだけで満足で、かつて雲の上の人だった方が隣にいる・・・膝ががくがく鳴っていたことを今でもはっきり覚えています。

ジンテックマーケティング理論(2)
【比較対照論】

ひとりよがりな「身勝手マーケティング理論」の第2弾です。今回は、「比較対照論(ひかくたいしょうろん)」です。

----人間はまっすぐにそのものを見て評価することは出来ないと私は考えています。例えば、目の前に1本のボールペンがあるとします。このボールペンは1本5万円だと言ったとします。するとそれを聞いていた人はきっと「高い!」と考えると思います。ではなぜ高いと思ったのでしょうか?ただ高いような気がしただけにすぎないのではないでしょうか?

だって相手の人はこのボールペンがどういうものか何も知らないから正確に判断できないはずです。多分、その人は彼が記憶している平均的なよく似たボールペンをデータベースから取り出して、ただそれと比較したにすぎないのではないでしょうか?つまり、ものの評価はすべて何かと比較しなければできない・・・。

これを「比較対照論」と名づけました。多分、この人はもっと安いボールペンを想像したのかもしれません。「あんなものせいぜい500円がいいとこだ。」だから5万円では高いと評価せざるを得なかった訳です。ところが、「実はこのボールペンは、ジョンレノンが愛用した世界でただ一本のボールペンで、その証拠に、ほらここに自筆のサインが入っています。」・・・といったらどうでしょうか?

「安い!」と言うかもしれません。ではさっき高いと言ったのはいったい何だったのでしょうか?問題はそのボールペン自体の問題ではなくて、何を比較物としてもってくるのか?・・・ということが最も重要ということになってきます。

この比較物である「ものさし」は、その人の経験や人生観や哲学などに影響されてきます。こちら側としては、その人のものさしが何かを冷静に見ることによって、どんな価値観をもっていて、どんな生活レベルで、人生観をもっているかを、ぼんやりとでも垣間見ることができます。

たとえば、もし「実はこれはボールペンのように見えますが、最新式のペン型携帯電話なんですよ。」と言ったらどうでしょうか?もう比較物が無くなってしまって、頭の中はパニック状態になってしまうのではないでしょうか?多分最初に発する一言が一番大切なのではないかと思います。

最初の一言で決まるといっても良いかもしれません。相手の人は、最初の一言をキーに自分のデータベースをさぐり、比較物を瞬時に出してきます。この時に抽出された比較物は、よっぽどのことがない限り、変更はありません。ですから最初の言葉は安易に発すべきではないのかもしれません。

これは第一印象というものにも通じるものだとも思います。逆に、こちらが相手の比較物の抽出をコントロールすることもできるという事になります。人間の感覚って以外といいかげんという感じもします。内海新聞の11号でも書きましたが私がラーメン店を辞めると決めた時に、なかなか売れなかったものだけをモデルチェンジしたことがありました。その時は偶然売れたのですが、しかし、人の感覚というのは不安定なものなんだな・・・と感じたことがあります。多分まっすぐにものを見て、はっきり右か左かを選ぶことができるのはやはり天才しかいないのかもしれません。

「流星哲学」 必ず夢を実現する方法

私は、会社を興した時から本当に恵まれていたと思います。様々の分野の大先輩が手取り足取り指導していただきました。多分「このままだと駄目になってしまうのではないか・・・」と見るに見かねて駆け付けていただいたのだとおもいます。その中でも、とても尊敬する師匠のお一人で創業の頃からずっとご指導頂いている大先輩がいらっしゃいます。

「内海さん。自分の夢を必ず実現させる方法があるのだけれど、それを教えてあげよう。」そうおっしゃいました。「そんなうまい方法があるのだろうか?」「内海さん。それはね、夜、外に出て空を見上げてください。もし流れ星が流れたら、自分の夢をすぐに言いきって下さい。そうすれば必ずその夢は叶いますよ。」「???そんな子供騙しな事を・・・」「じゃぁ、内海さん。いつどこで流れ星が流れるか知ってますか?しかもたった1秒か2秒です。そんな時に自分の夢を言い切るには24時間365日ずっと考え続けないとできない芸当なんよ。」

なるほど・・・夢を持ちつづける事、考え続ける事が自分は出来ているのか?おおいに反省しました。