内海新聞 11号

編集長より:ついに21世紀に突入・・・と思っていたらもう3月。じつは21世紀なんですよね。でもあまり普段と変わり映えなく、ちょっとイメージ違うなぁという感じです。毎日仕事に追われて時間の過ぎ去り方だけはさすが21世紀というだけあって光速に近いものがありますが・・・

1円玉

私は、当時雲雀ヶ丘学園という洋酒メーカーのサントリーが経営する学校に通っていました。いたずらっ子の友人が言いました。
「いいもの見せたろか?」
彼はポケットから大事そうに1円玉を取り出しました。ん?普通の1円玉やんか・・・
「これがどうしたん?」
「これ、僕が作ったんやで。本物そっくりやろ!」

というと彼は、その1円玉をくるっとひっくり返して裏側を見せてくれました。その裏側を見て私はびっくりしました。なんと、その1円玉の裏側は何もないのです。つるつるでした。

「実は、まだ途中なんや。表側はできたんやけど、裏はこれから作るんや。また出来あがったら見せたるわ。」もう本物そっくりです。裏のつるつるの面をみなければ、絶対に解りません。私は、その日から彼を尊敬してしまいました。どのようにしたら、あんなに器用に1円玉が作れるんだろう。????謎です。いろんな人に自慢しました。「僕の友達に凄い人がいるんやで。」私が、彼のその1円玉の謎を知ったのは、だいぶん経ってからです。

彼は、本物の1円玉の片面を床でこすってつるつるに削っていたのです。削っていない方を見せて、まだ半分しかできていない・・・と言っていたのです。私は悔しいという思いよりもさらに感心した事を覚えています。「やっぱりこの人は凄い!」と・・・・。この友人にはこれだけではなく、本当に数えられないくらいだまされたのを覚えています。でも、憎めない友人のひとりでもあります。

店・・・もう辞めます

昭和60年5月。私はラーメン屋の仕事の休み(毎週水曜日の午後4時~翌日の午前3時までが私の唯一の休暇でした。)の日の夕方、いつものように大阪の淀屋橋のニチメン本社ビル4階にあった人材派遣会社にいました。

元三菱商事大阪副支社長で当時の取締役事業開発部長だった富田さんは、私に言いました。
「君は、この会社で一緒に新規事業をやる気はないか?」
「はい。わかりました。やらせてください。」
私は間髪いれずに答えました。

それには、さずがの富田部長も驚かれていました。「そんなに簡単に決めてもいいのかい?」逆に心配されていたのを覚えています。

・・・・私は、自宅に帰り両親に話ました。「店を閉めてもいいだろうか?」
そうしたら、母は「そろそろいいかもしれないね。10年も続けたし・・・」
父も「そうだな・・・・・」これで決まりました。
ただ、1年のうちの一番の稼ぎ時が8月なので8月31日まで営業して辞める事になりました。

・・・・さぁあと3ヵ月でここから脱出できる。そんな気持ちのほうが強かったように思います。31歳の時です。
8月までの3ヵ月はいままでできなかったことにチャレンジしてみよう。どんどん新メニューを作っていきました。今週限定メニューとか、夏限定メニューとかいろいろチャレンジしてゆきました。しかし、従来のメニューで、全然売れないものがいくつかありました。たとえば「八宝菜」。これがどうすれば売れるのかを真剣に考えました。そして、いろいろ思考錯誤の上、こんな作戦にでました。

(1)値段を2倍から3倍以上にする。
(2)名前を変える。
(3)材料を2品だけ高級にする。

そこで、600円の値段を2000円にアップしました。名前を「八宝菜」から「上八宝菜」に変更。(あまり変わらないですが)材料の小海老から車海老に、そしてホタテ貝の貝柱を追加。そして、恐る恐るメニューに出しました。そしてこれまでの八宝菜は止めました。ところがどうでしょう。その新メニューが売れ始めたのです。

安いものしか売れないランチタイムにも3個から5個は出るようになりました。1日に15個はでるようになりました。八宝菜だけではありません。他のメニューでも同じ事が起こりました。これは一体どういう事なのでしょう。安ければ売れるというものでもなさそうです。商品は値ごろ感で決まるのではないのかな?そう思いました。価値があると思えば安く感じるものです。値段とは数字の大小ではなく「値ごろ感」なんだ・・・・。

速読教室

10年程昔、会社を始めた頃、私は速読教室に通いました。東大医学部の教授で栗田先生という方が主催されているもので確か早稲田大学の近くに教室がありました。その頃まだ誰も速読なんて興味がなかった時代でした。

この栗田先生は速読では日本での第一人者です。著書も多く、もし興味をお持ちの方は是非読んでみてください。その教室の生徒はサラリーマンやOLで10人くらいでした。私がその速読教室に行ってびっくりしたこと・・・・早く読む訓練もさる事ながら、本のページを早くめくる練習でした。あまりに読む速度が早いので、ページをめくるのが間に合わなくなるので、いかに早くめくるかの練習です。1ページを1秒とか2秒で読んでいます。

本も絵本のようなものではありません。字が一杯ある通常の文庫本です。速読の練習は次のようなものです。まず本の一部をコピーしたものを皆に配ります。先生はストップウォッチを持っていて、最初は1分くらいで読んでいきます。そしてその内容を原稿用紙に書き移します。次は30秒で読みます。そしてその内容を同じように原稿用紙に書きます。原本はみてはいけません。そして、再び今度は15秒で読んで書きます。この様に読む時間を段々短くしてゆきます。

先生はこう言いました。
この中で実際に声を出して読んだ人、あるいは心の中で声を出して読んだ人は手を挙げてください。全員が手を挙げました。
「だいたい皆最初はそうです。これからは心の中でも声を出さずにただ見て下さい。」
その後、先生が言われた理屈を聞いて私はびっくりしました。
「脳の機能として読む事と声を出すことは全然違う機能です。読む事は視覚です。視覚から直接脳に記憶することが速読なのです。これは神経の中を情報が走る訳ですからハイスピードで処理が可能です。もし声を出して読む癖がついてしまうと、脳の中にそのニューロン(神経細胞)が結合されます。せっかく目で見たものをスピードの遅い音声に変換する事になります。さらにそれを耳で聞き取るという事になります。なにもわざわざ、手間暇かけて遅く読む事はないのです。見たものをそのまま脳に記憶する訓練を続けて下さい・・・だから1ページは1秒くらいで読めるはずです。」

もう開いた口がふさがらない・・・いままで受けた教育は何だったのでしょうか?私が学校で学んだ事は、「本は大きな声を出して読みなさい・・・!」でした。速読を鍛える訓練として、指回し訓練を毎日30分ずつしました。両手の同じ指同士組み合わせ、親指同士だけくるくる回します。今度は逆に回します。次は人指し指同士回します。また反対に回します。このように小指までしてゆきます。親指や人指し指までは良いのですが、その後はもう無茶苦茶です。

この指の運動は脳を刺激する運動ということです。そしてページをめくるスピードも早くなります。確かに、見ることと聞くことは違います。見るほうは光の早さですから、1秒間に地球を7周半回るスピード。一方音声は時速数100Kmのスピード。理屈ではどちらが早いかということは解るのですが、実際に実行しろというのはなかなか大変です。ただ、人間の脳というのは鍛え方次第ではいくらでも進化させてゆくことが可能なような気がしました。この速読は大脳生理学とでもいうのでしょうか?脳の生理を熟知した上での、訓練です。貴重な体験でした。

脳と俳句

俳句とは日本人の発明した偉大な文化でありシステムだと思います。五七五で情景や心の様相を表現するとう素晴らしい文化です。

「右脳俳句の会」というのがあるそうです。大脳生理学の権威である品川博士が主催されたものです。俳句というのは脳に対して大変良い効果があるそうです。ある情景を見て「奇麗!」と思う。これは右脳の支配する分野です。それはカメラでそのパシッとスナップ写真を撮影する雰囲気です。

今度はその情景を左脳に移して、データベースの中から単語を選びだし五七五のルールに当てはめて完成させる。まさに右脳と左脳の連係プレーでなし遂げるシステムです。週末には近所をゆっくり散歩しながら俳句をつくるのも良い気分転換になりますね。