新・内海新聞108号

【フィンテック】

最近ニュースや新聞によく「フィンテック」という言葉が出てきます。
〔ファイナンス+テクノロジー=フィンテック〕です。
因みにジンテックは、〔人材+テクノロジー=ジンテック〕です。
設立当時、業務内容が人材サービスであったためこの名称になりました。

さてフィンテックですが、急に話題に上るようになったのには理由があります。
それは改正銀行法が2016年5月に可決した事にあります。
日本経済新聞によると以下の通りです。
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金融とIT(情報技術)を組み合わせた「FinTech・フィンテック」と呼ばれるサービスを促すための改正銀行法が25日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
銀行や持ち株会社による事業会社への出資制限を緩め、IT企業に出資しやすくする。
ビットコインなどの仮想通貨に対する国内初の法規制も盛り込んだ。
銀行がIT企業へ出資する場合、銀行は5%、銀行持ち株会社は15%までの出資制限があった。
ただ金融サービスとITの融合がいっそう深まっていることから、金融庁は個別認可によりIT企業への出資割合の拡大を認める。
金融持ち株会社では、ガバナンスの強化を条件にグループ傘下の銀行の共通業務を集約できるようにする。
ビットコインなどの仮想通貨への法規制では、取引所を登録制にする。
顧客の資産と自己資産をわける「分別管理」を導入して、監査法人や公認会計士の定期監査も義務づける。
マネーロンダリング(資金洗浄)などを防ぐ一方、利用者を保護する狙いだ。
金融機関が、フィンテックに注目し資金援助が手厚くなれば、資金力のないベンチャー企業にとってこれほど有難いことはない。
たとえば、スマホが急速に普及する中で、スマホを使った金融サービスが続々と誕生している。
電子家計簿やAirレジや、最近有名になってきたMoney Forwardなどがあげられる。
FinTech企業は既存の金融機関との共生型と、市場を奪う競合型に分類される。
また、FinTech企業自身が金融ビジネスを行うパターンと金融機関にシステムを提供するソリューションビジネスを行うパターンが存在する。
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ジンテックの仕事は共生型FinTech事業とも言えます。
金融機関に代わって、信用調査を行うのが業務となります。
そもそもジンテックの事業は、相手の所在確認を如何に早く、低コストで行う方法はないのか?
という本当に単純な思いつきから始まっています。

これがなぜ金融の分野に入ることになったのかお話したいと思います。
当初はダイレクトメールの不着防止やアウトバウンドコールの不通確認をするために考え出しました。
固定電話が繋がらなければ、そこには住んでいないだろう、繋がらない電話は最初から掛けない、郵便も送らない。
無駄な経費を抑えるためです。
それを自動化してチェックする仕組みがTACS(タックス)です。
「届かないダイレクトメールは送らない!」をキャッチコピーにDM不着防止の営業をしていたある日、
半蔵門にある東総信という中堅の信販会社に飛び込みました。
沢山のダイレクトメールを送っているだろうと思ったからです。
Yさんという自動車部の部長に対応していだだきました。
なぜ自動車部?とは思いましたが自動車ローン担当の部長でした。
私は身振り手振りでTACSの効果を説明しました。Y部長は黙って聞かれていました。

話が終わると、Y部長はこう言われたのです。
「与信だな。与信に応用すればこれは化けるぞ。」
「与信?」私は与信という言葉もその意味も解りませんでした。
その時からTACSは、与信の流れに乗ることになります。

このヒントをいただいたYさんはその後、東総信を退職しジンテックに転職されます。
そして私の考えたメロンパン販売を金融事業として成立させるという世界初の事業を某銀行と始めることになりますが、これはまた次回に。
TACSが果たしてどうしたら与信に使えるのか?模索が始まります。
これまでの顧客は通信販売会社が中心で、今度は金融機関が相手です。
銀行に訪問して「こういう仕掛けがあるのですが、何か与信に応用できることはありませんか?」というような営業です。

相手の担当者は驚いてすぐに追い返されるのが常でした。
ところが、全く予想もしなかった業界から与信の話が舞い込んできたのです。
ある年の秋でした。
突然一本の電話が鳴りました。
「こちらは日本IBMです。あるプロジェクトで御社のシステムが採用決定しました。
ついては明日大阪で全体会議があるのですがご参加いただけないでしょうか?」

「はっ?」IBMに営業をしたこともないし、何のプロジェクトかもわからない。
「何のプロジェクトですか?心当たりがないのですが…」
「詳細は明日お話いたします。ご参加いただけますか?」
強引です。「畏まりました。伺います。」全く不思議な電話でした。
今でもはっきり覚えています。

大阪駅まで担当者は出迎えに来てくれました。
それは、日産自動車が大株主となって設立された移動体通信のツーカーホン関西という会社でした。
その開発を日本IBMが一手に担当していました。20名以上の担当者を前に、当社は私一人。
非常に心細い会議でした。
内容はこういう事でした。
まさに携帯ブームが起こる前夜という時期でした。
先行するドコモとDDIを追撃するかたちでJ-PHONEとツーカーホンが設立されました。
後発の差を埋めるため0円電話という無料で携帯電話をばら撒き、通話料で稼ぐという荒っぽい戦略が進められていました。

その時に携帯電話をタダで渡して良いのかという申込者の与信が必要になってきました。
一台数万円もする携帯電話です。
その頃、J-PHONEとツーカーホンの0円電話は通話料を支払わなくても3ヶ月は使えたので、
使うだけ使ってあとは捨てるという悪質な利用者が増え、大きな問題になりつつありました。
店頭での混雑を回避するために15分以内にすべての与信を完了させる必要がありました。
「この15分間のうち、5分間をジンテックさんに任せます。
無人で申込者の与信を完了させて下さい。御社のTACSを使って。」

こうして、与信の分野に踏み込む事になるのです。
私が考えた仕掛けとは、申込者が店頭で書いた申込用紙をFAXでツーカーホンの与信センターに送られます。
コンピューターは申込者の自宅電話番号と勤務先の電話番号を自動で読み取り、TACSに送ります。
TACSは数秒で現在通話可能か、あるいは不通状態かを判断します。
不通状態の場合、その情報はオペレーターの画面に「再審査」のアラートが表示され、
オペレーターは販売店に更に個人本人を証明する書類の追加提出を要求します。
すでに時代は進み、現在ではこのような単純な仕掛けでは対応できません。
TACSのシステムはさらに進化し、さらにハイレベルな与信サービスとして提供しています。
TACSが金融分野に使える!これで「信用調査」という新たなドアが開きました。
まさにこの時から当社は共生型FinTechの道を歩み始めます。
今から20年も前の話です。
与信には入会時の審査の「初期与信」と入会後の動きをみる「途上与信」があります。
TACSはこの両方に対応します。
たとえば「初期与信」としては、クレジットカードの申込時には、申込者の申請内容に虚偽が無いかを調べます。
「途上与信」としては、入会後の当該カードホルダーが、登録情報に変動が有るかどうかの継続調査をします。
「途上与信」の例を上げると、銀行のATMを操作する時、キャッシュカードを挿入します。
その時、その人の個人情報は銀行のコンピューター内で照合されます。
そして、TACS処理の後、その利用者の登録情報が申込時と現在とで相違があった場合、修正依頼がATM画面に表示されるといった具合です。
時代は固定電話から携帯電話、さらにはスマートホンの時代に代わり、バリエーションも広がりました。
ナンバーポータビリティ―サービスも一段落し、携帯の電話番号はよほどのことが無い限り変更しなくなりました。
20年以上前から研究を続けていたショートメールサービスがあります。
当時J-PHONEと共同で数多くの実験を繰り返し、新サービスの開発をしていました。
J-PHONEのメールアドレスは、ドメインの前が携帯番号になっていました。
ショートメールは電話番号だけで送ることが出来るアドレスです。
文字数に制限はありますが、非常に簡単です。
しかし、携帯各社の仕様が統一されておらず、キャリアを超えてのショートメールの送受信ができず、
同キャリア同士でしか利用できない事がネックとなり、研究は中断されます。
現在、総務省の意向で、全キャリアでの送受信が解禁され、大幅に利用のチャンスが広がりました。
電話番号が判ればショートメールを送ることが出来ます。
ショートメールの本文にURLを埋め込めば、多くの情報を送る事が出来ます。
ジンテックの提供するサービスでご説明します。
ある通信販売で購入し、支払いをする時のシーンで以下の事が可能です。
①通信販売会社のある電話番号が開示されていたとすると、注文時にスマートホンで電話を掛けてもらいます。
②コンピューターは発信者電話番号を検知したら直ちに回線を切断します。この時点では着信していないので通話料はかかりません。
③その取得した電話番号にショートメールを返信します。この間、数秒です。
④送られてきたショートメールに、決裁内容のURLが埋め込まれています。
⑤購入承諾ボタンをタップすると、コンビニ支払いの画面が自動的に展開し、
この画面をコンビニで提示すれば支払いが出来るという仕掛けです。
まさに、これは共生型FinTechの姿になります。まだまだ、この分野の可能性は広がることが予想されます。